【硬式野球】”四冠”という言葉だけ~春季リーグ開幕直前特集③ 初谷健心~

硬式野球

昨年、悲願の大学四冠を達成した青学大硬式野球部。新体制となった現在も昨年の主力選手が多く残り、2年連続の大学四冠に向けてチームは歩みを進めている。今回は、全4回に渡ってチームを牽引する最高学年の選手たちにラストシーズンに懸ける思いを聞いた。 第3回の主役は、攻守にわたるユーティリティープレーヤーの初谷健心(総4=関東第一)だ。


野手陣の中心として活躍することが期待される初谷は、昨年を「個人では最初こそ出遅れたが、最後に明治神宮大会で結果を残せてよかった。チームとしては最後に明治神宮大会で優勝、大学四冠が達成できたことが嬉しかった」と振り返った。一方、特に心に残っている場面には秋季リーグ優勝をかけた中央大戦で放ったホームランを挙げた。「勝てば優勝という場面で1本打てたこと、それを打った相手投手が高校の先輩だということが印象に残った」と語った。このほか、初谷は明治神宮大会・準決勝の天理大戦で延長10回にサヨナラ打を放っている。様々な場面で劇的な打撃を見せてきた初谷だが、あくまで本人は「勝負強いというよりは、いいところで回ってくるだけですね」と謙虚な姿勢を崩さない。

秋季リーグの優勝をかけた中央大戦で本塁打を放つ初谷

佐々木泰(25年コ卒、現広島東洋カープ)や西川史礁(25年法卒、現千葉ロッテマリーンズ)、児玉悠紀(25年コ卒、現JR東日本)らを擁した先輩学年が卒業し、ついに始動する新生青学大野球部。今年の野球部について、初谷は「どの大学も、青学大と対戦するときは王者として向かってくる。去年勝てたからと言って、今年も勝てるわけではない」と話す。新チームの課題点には「全体を引っ張る選手や、この人に打席を回せば点が入る、という役割の選手がいない」ことを挙げ、一方で強みには「去年までと変わらない上下関係の無さ、そして守備から作った流れを攻撃につなげる戦術」を挙げた。「上下関係が無いことで互いになんでも言い合うことができ、下級生の選手もプレーがしやすい。自分も1年生の時にそう接してもらえて、とてもやりやすかった。今度は最高学年として、後輩にものびのび野球ができる環境を与えてあげたい」と語った初谷。また守備から作る流れについては「これも以前から徹底していること。去年はエースに児玉さんがいて、今年は中西聖輝(コ4=智辯和歌山)。中西が投げているときは、いつも以上に守ってやろうという気持ちも強くなる。今年も守りから入る野球を、チーム全体で重視していきたい」と環境と戦術の両面において、伝統の継承を誓った。

今年は最高学年として副主将を務める初谷。現在の心境については「実際に4年生・副主将として上に立って初めて、チームをけん引する大変さ、責任が分かった。緊張やプレッシャーも感じている」とその苦悩を吐露した。それでも初谷は、副主将としての目標を「勝てるチームを作るには自分だけ、個人だけを見ていてはダメ。今まで以上に周りを見て動くことを大切にしたい」と力強く語った。「上に立つ人間としての在り方は前主将・佐々木さんから教わった」と話す初谷には、確かに先代から受け継いだ「王者・青学」を引っ張るリーダーの姿があった。

1人の野手としての初谷の特徴と言えば、そのユーティリティな活躍である。打っては切り込み隊長から中軸まで、守ってはショート、ファースト、サードをも器用にこなす。様々な形での起用について、初谷は「チーム全体で全員戦力と言われている中では、何番でも打てる、どこでも守れることは当然だと思っている。もちろん打順によって打ち方を、守備位置によって守り方を変えるなどはするが、呼ばれればいつでも、どこでも行けるよう常に準備している」と話した。今年の起用については攻守ともに「未定ではあるが、固定はないと思う」とした初谷。打撃と守備の両面でチームを支える初谷の存在は、今年の青学大野球部にも欠かせないものとなるだろう。

 

今年の目標について聞くと、初谷から帰ってきた答えは「チームでは四冠。四冠という言葉だけ。個人では打率3割とノーエラー。だた、これだけ」と実に単純明快で、「それ以外には何もない」とまで言い切った。無論、その短い言葉の裏には王者青学大・副主将としての苦悩や、ユーティリティープレーヤーならではの困難に対する様々な覚悟がある。いわば端的な目標とは、その覚悟の現れといえるだろう。

2年連続の大学四冠へ、初谷の心は熱く燃えている

打撃で、守りで、リーダーとして、あらゆる面から青学大野球部を引っ張る2025年の初谷。「四冠」の言葉に取りつかれた男が、今年も神宮球場でドラマを生み出す。大学ラストイヤーとなる初谷健心、その一挙手一投足から目が離せない。

(記事=高木一郎、写真=遠藤匠真、山城瑛亮、比留間詩桜)


 

春季リーグ開幕直前特集ということで、初谷選手についてもっと知ることができる質問にも答えていただきました!

・初谷選手の打撃のこだわりは?

常にできれば率を残したい、と思いながらプレーしているが、打順によって打ち方を変えることにはこだわっている。例えば1番を打つ場合はいかにベンチを勇気づけるか、チームに「今日は行けるぞ!」と思わせるかを意識している。塁に出ることよりも、チームに勢いをつけること。極論、強い打球を放ってセンターライナーでも良い。もちろんヒットが出れば満点だが、チームに勢いをつけることが第一だと思っている。ほかにも2番を打つ時はチャンス拡大を狙うし、クリーンナップならランナーを返す…打順ごとの打ち分けは今年もこだわりたい。

・初谷選手の守備のこだわりは?

正直、守備は苦手で…。高校まではピッチャーもやって、昔からいろいろなポジションを守ってきたが、守備の技術はまだまだだと思う。その分、声回しで貢献することはいつも大切にしている。あとは、守備でもポジションごとで守り方を分けている。例えばショートだと内野手同士の連携が多かったりランナーとの兼ね合いがあったり、緩い打球は前に突っ込まなければ間に合わないなど、セカンドの守備とはまた違う打球判断の早さを重視している。

・初谷選手の好きなポジションは?

ショートが好き。難しいポジションではあるが、2年生になってから守り始めてとても楽しくやっているほか、やはり「内野と言えばショート」という部分もある。

・打撃のライバルは?

主将の藤原夏暉(法4=大阪桐蔭)など、青学大野球部はみんな打撃が素晴らしい。個人のライバルはいないが、チームで1番打ちたいとは思っている。

・守備のライバルは?

ライバル、というより参考にしたいと思っている選手は、ショートだと山口翔梧(営2=龍谷大平安)。グラブさばきなど、ただただ技術力が高い。

・今年のキーマンになりそうな選手は?

投手でいうと中西。とにかく肝が据わっていて、後ろで守っていてもやはりエースは中西一択。当然頑張ってほしい。ただ、ほかに頑張ってほしいのはヴァデルナフェルガス(国経4=日本航空。ヴァデルナがしっかり投げられるようになると、試合全体がとても楽になる。スライダーが一級品で、ストレートの球速も上がってきている。しかも変則投手。ストライクさえ入れば、絶対に打てない。

野手でいうとキーマンは青山達史(コ2=智辯和歌山)。長打力がある選手で、打つべき打順はクリーンナップだと思っている。青山の長打力には期待している。

・仲の良いチームメイトは?

去年だと佐々木さんだったが、今年は中田達也(社4=星稜)が1番仲がいい。一緒に盛り上がることが楽しくて、寮でもいつもくだらないことばかり話している。チーム内では自分もムードメーカーだが、あくまで1番は中田。さすがに負ける。

・青学大野球部の好きなところは?

みんなが真面目で、純粋に野球が好きなところ。よく練習するし、単に楽しむだけでなく厳しいところは厳しくするなど、メリハリがある。あとは上下関係の緩さ。これはプレーにもつながる部分で、とても良いことだと思っている。

・実は意外なところがある選手は?

星子天真(史3=大阪桐蔭)は部活中とそれ以外で全然違う。グラウンドでは真面目だが寮ではおふざけキャラ。口がうまいというか、先輩をヨイショしてよく盛り上げてくれている。野球の時も、攻守交替の時にはふざけるとまではいかなくとも、明るく盛り上げてくれている。

・期待している新一年生は?

外野手の大神浩郎(総1=福岡大大濠)には期待している。足が速くて真面目な選手。バッティングについてもよく聞いてくる。そういう選手は応援したいし、アドバイスしようという気持ちになる。本人次第だが、今年中のスタメンもあると思う。

・ファンのみなさんに一言

青学大は期待されていると思うが、その期待に応えられるよう、いや、それ以上の結果が出せるように頑張りたい。

 

プレー以外の質問にも快くに答えてくださった初谷選手。初谷選手も出場する東都春季リーグは4月7日に明治神宮球場で開幕予定だ。リーグ10連覇へ、そしてなにより、2年連続の大学四冠へ向けて戦う青学大野球部・選手たちへ、現地で熱いエールを送りたい。いざ、プレイボール!

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