【硬式野球】背中で導く覚悟の春 ~春季リーグ開幕直前特集④ 藤原夏暉~

硬式野球

昨年、悲願の大学四冠を達成した青学大硬式野球部。新体制となった現在も昨年の主力選手が多く残り、2年連続の大学四冠に向けてチームは歩みを進めている。今回は、全4回に渡ってチームを牽引する最高学年の選手たちにラストシーズンに懸ける思いを聞いた。

最終回の主人公は、俊足堅守のリードオフマン、藤原夏暉(法4=大阪桐蔭)です。


昨年、悲願の大学四冠を成し遂げた青学大。その快挙に大きく貢献したのが主にセカンドとして出場し、リードオフマンとしてチームを牽引し続けた藤原夏暉だ。昨シーズンを振り返り、藤原は「チームとしては、四冠という目標にしていたことが達成できたのですごい嬉しかった。負けの流れの中でも勝ち切れたっていうのが去年の強さだった」と語る。一方で、個人としては苦しい一年でもあった。「特に秋のリーグ戦は絶不調で、、、過去一くらいで不調だった」と率直な思いを明かした。

1年時からスタメンを死守してきた藤原だが下級生の成長もあり、出場機会を失うこともあった。昨年の秋季リーグの対東農大第二戦の試合前日のスタメン発表で自分の名前が呼ばれなかった時は、悔しさが込み上げたという。それでも藤原は「周りをどう鼓舞してやりやすいようにアドバイスするかを考えていた」と話す。この姿勢こそが、「主将」という大役を担う要因の一つになったのではないか。

藤原は今シーズン、チームの主将に就任した。自分がその大役を任されることは想像していなかったという。「新チームが始動して最初の練習の朝に呼ばれて。キャプテンやらないか、と」と当時を振り返る。野球人生で初めての主将。さらに前任は山田拓也(23済卒=現東芝)や中島大輔(24総卒=現東北楽天ゴールデンイーグルス)、佐々木泰(25コ卒=現広島東洋カープ)といった錚々たる先輩たちが名を連ねる。この日本一のチームを背負う重圧と責任を、藤原はひしひしと感じている。「考えすぎちゃうところがあるんです。でも拓也さん、大輔さん、泰さんを今まで自分はしっかり見てきたと思っているので、良かったところを取り入れて、という感じでやっています」と話す姿には覚悟がにじむ。この真面目な姿勢こそが周囲に信頼され、主将に抜擢された理由のひとつだろう。

今シーズンはチームの主将に就任した

そんな藤原を支えるのが昨季に続き副主将を務める初谷健心(総4=関東第一)の存在だ。初谷は下級生とのコミュニケーション能力に長け、チーム内では“中間管理職”的な立ち位置で橋渡し役を担っている。「初谷に任せられるところは任せて、僕が背中で引っ張る、というような感じで暢気にやってます」と役割分担をしながらうまくバランスを取ってチームを率いている様子がうかがえる。

新入生を迎えた新チームの雰囲気について、藤原は「変わらずいい」と笑顔を見せる。学年の垣根を越えた深い交流は青学野球部の強みだ。また今年の4年生は下級生の成長や今後のチームを考えて行動するようになり、学年を超えた練習や外出の機会が増えているという。上級生が下級生に目を配り下級生も生き生きとプレーできる、風通しのいいチーム作りが功を奏しているのではないか。

藤原はプレースタイルの面で異彩を放つ。学生野球界では稀なスイッチヒッターとして、日々の練習にも余念がない。「やっぱり考えすぎちゃうのでできるだけシンプルにというか。やって悩んでというよりとにかくシンプルに、楽しんでやっています」と話す。「両打席警戒されるような選手になりたい。自分ではなれると信じているのでそういうところを見てほしい」と自信を覗かせた。

今後の野球人生については「春の結果次第で決めようと思います。プロは目指しているので、結果出したいです。春が大事になってくる」と真剣な表情で話す。今季の個人の目標は「ベストナイン。取れるタイトルは取りたい」と力強く宣言してくれた。セカンドは熾烈な争いになることが予想されるが、藤原なら爪痕を残してくれるだろう。さらに「悩まない」とも笑みを浮かべて話した。

春季リーグの開幕戦では中大と対戦する。高校時代のチームメイトであり、ライバルでもある中大・繁永晟に対して「シゲは特別な存在。負けてられないです」と並々ならぬ闘志を燃やす。どこが優勝してもおかしくない混戦必至の東都リーグ。「本当にどこが優勝するかわからないし、逆に僕たちが入替戦に行く可能性もある」と分析する。

一瞬の油断が命取りとなるサバイバルの中で、青学大野球部のスローガンである「全員戦力」を胸に“青学らしさ”を発揮できるか。藤原主将のリーダーシップと、全員戦力の真価が問われる春が、まもなく幕を開ける。

(記事・写真=比留間詩桜)


春季リーグ開幕直前特集ということで、記事では伝えきれなかったエピソードや藤原選手の素顔に迫る質問をご紹介します!

 

―今春のキーマンになる選手は?

「大和(松本、国政1=天理)。試合に出るかもしれない。バッティングは凄くいいです。あと青山(達史、コ2=智辯和歌山)。青山が打ってくれれば楽なので、期待しています。」

 

―同学年のヴァデルナフェルガス(国経4=日本航空)選手の調子はいかがですか?

「今は順調に来ていると思います。左バッターとか今のところ8人投げて7人三振取っているんで、すごくいい感じだと思います。期待してます。ストライク入れば、球自体はえぐいので。」

 

―趣味は?

「ほんとに寮を出ないんですよ、僕。小さい頃はずっとスノボしてたんですけど、、、趣味なくなりましたね。でも、よく中西(聖輝、コ4=智辯和歌山)とか初谷とか小田(康一郎、史4=中京)とかとカラオケ行くんですよ。」

 

―中西選手が小田選手は歌が上手だとおっしゃってました!

「めっちゃうまいです。ビビりますまじで。(笑)中西も高音キャラで、初谷も上手いです。小田は響く。声がずるいです。落としにいく系の声。でも全体的に青学は歌が上手い子が多くて、平均的に見たらすごいレベル高いと思います。稲垣(渉、史2=帝京)も上手い。もうミセスです。ミセスの高音でも綺麗に出てます。青学野球部とカラオケ行ったら面白いですよ。初谷とかずっとモノマネしてて面白いです。星子(天真、史3=大阪桐蔭)も谷口(勇人、営3=大阪桐蔭)も上手い。90点台続出です。」

 

―部内での裏話

「杉森(宏大、現デ3=立命館守山)がダイエット頑張ってます。今年一年で体脂肪1桁を目指してるらしくて。そのくせシュークリームとかめっちゃ食べてます。まだ甘えてます。だいぶ甘いです。トレーニングして頑張っているんですけど、今日もしっかり差し入れのシュークリーム食べてました。(笑)」

 

―よく食べる選手は?

「小田は制限してるけど、制限がなかったらひたすら食べます。焼肉とかって時間制じゃないですか?小田はデザートなしでひたすら肉食べてます。中西は間食が多いです。甘党なんで、シュークリームとかデザート系ずっと食べてます。(笑)」

 

―最後に応援してくださるファンの方々へメッセージをお願いします。

「去年最高の形で四冠を取れたので、まずは春のリーグを5連覇して、全日本を3連覇してとにかく四冠を達成したいと思っているので、引き続き応援よろしくお願いします。」

 

終始笑顔で、和やかに話してくれた藤原選手!藤原選手率いる青学大野球部は、明日、明治神宮球場で行われる中大との東都春季リーグ開幕戦に挑みます。春季リーグ3連覇、そして2年連続の大学四冠という前人未到の偉業の達成へ。青学大ナインの新たな戦いがここから始まります。

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