【硬式野球】左のエースとして駆け抜けたラストイヤー~4年生インタビュー⑦ 児玉悠紀~

硬式野球

史上5校目の大学四冠を成し遂げた青学大。その中心にいた4年生は、優勝に輝いた明治神宮野球大会をもって硬式野球部を引退しました。青山スポーツでは4年生9名にインタビューを行い、青学大硬式野球部で過ごした4年間を振り返っていただきました。最上級生としてチームを牽引してきた4年生の皆さんの熱い言葉を全9回に渡ってお届けします。第7回の主人公は制球力と安定感が持ち味の左腕、児玉悠紀(コ4=日大三)投手です。


4年間の大学野球生活を、左のエースはこう振り返る。「個人的には、やはり最後の一年が一番印象に残っている。1,2,3年生の時は先輩の背中を追いかけることがメインだった」1年時から登板を重ねた児玉は、4年時には“右の中西聖輝(コ3=智辯和歌山)・左の児玉”の青学大2枚看板エースの一角としてフル回転した。しかし最終年、児玉は春季リーグから無失点投球を重ねるも、シーズン途中から調子を落とす。「悔しかった」「春季リーグまではしっかりと投げられていた、これは良かった。ただ、全日本選手権大会から秋の神宮大会まで、全然いいところがなかった」「とにかく悔しい1年だった」と振り返る児玉。およそ6か月ぶりの勝ち星を獲ったのは東都秋季リーグの対中央大戦、奇しくも優勝決定試合だった。この試合をもって、青学大はリーグ戦4連覇も達成している。不調に喘いだ今年の児玉だったが、常に心の支えとなっていたのは“責任感”だった。「4年生はピッチャーが少ない。秋はチーム全体でピッチャー4人体制で回していた。中でも自分以外の3人は3年生以下。“僕が投げなきゃ”という気持ちで投げていた。」

大学日本代表強化合宿にも参加した児玉

同学年にピッチャーが少ないなかで立つ先発マウンドには、こだわりもあった。「自分が“先発型”というのはあるし、やはり中継ぎ以上に先発のほうがこだわりは強かった」「自分はあまり球速が出るピッチャーではない。これも先発向きの要素だったかもしれない。」自身を速球派ではないと語る児玉だが、その生存戦略は“コントロール”にあるようだ。「中野さんに教えられた“コントロール”、“ストライクゾーンでの球の強さ”、これですね。例えば140キロの球でも145キロに見せる、見える球を投げる。つまり、球速以上に速く見せる。これが東都で生き抜くには一番大事だった。」

児玉の持ち味は、その制球と安定感

なかなか調子が上がらない児玉を支えた“責任感”。その裏には“最高学年として”や“投手として”以外に“副将としての児玉”の姿があった。「野球を始めてから大学4年まで、リーダーの類になったことがなくて…正直やりたくなかった。というより、自分は前に出て何かを言うような性格ではない。正直嫌だった」「でも監督に指名された以上…ノーなんて言ったら、ヤバいっすね、うん。」今年の青学大野球部は主将を佐々木泰(コ4=県岐阜商)、副将は児玉と初谷健心(総3=関東第一)が務めた。「副将としてなにかできたか、と言われると、佐々木に頼ってばかりだった。それでも部員一人ひとりがしっかりしたから分、大丈夫だった。周りの4年生が一緒になって支えてくれたのもうれしかった」と部員への感謝も口にした。

4年間で最も印象に残った試合について、児玉は「今年の春季リーグ・日大戦での完封勝利が一番だ」と語る。「人生で完封は何度かあるが、1-0の試合はこれしか記憶にない」この試合、唯一の得点“1”は同学年の西川のタイムリーであった。「もうちょっと点とってくれよ、とは思ったが、終わってみれば完璧に抑えられていた。とてもいい内容だった」「やはり、自分の代の力で勝てるというのは嬉しい。」一方、対戦してみて凄いと感じた選手については「中央大の森下翔太(現阪神タイガース)選手はすごかった。マウンドで投げていても怖かった」と、18.44mを感じさせない気迫を語った。

最後に、4年間プレーした青学大野球部に対しての思い、期待を語った。「みんな意識が高く、良いチームだった。来年も四冠を獲る。今の3年生はずっと試合に出てきた。中でも鈴木泰成(社2 =東海大菅生)と中西には期待している。あとはヴァデルナフェルガス(国経3=日本航空)、ストライクさえ入れば素晴らしいピッチャーになる。それに神宮で投げたことのない人はみんな投げてほしい。平野順大(コ2 =京都国際)とか…ピッチャーはみんな期待している」将来の青学大投手陣の展望を語る児玉の顔は明るい。

後輩に対しては「僕たちは四冠でいけるところまで行った。来年も四冠連覇を果たしてほしい。がんばって」と王者の風格十分な激励。神宮球場に詰めかけたファンには「たくさんの応援ありがとうございました」と締めた。

優勝祝賀会で表彰される児玉

児玉の快投なくして、青学大の黄金時代はなし得なかった

 (記事=高木一郎、写真=山城瑛亮、田原夏野、比留間詩桜)

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