【硬式野球】リーグ6連覇達成!!「全員戦力」でいざ神宮大会へ!

硬式野球

東都1部秋季リーグ戦 対亜大 3回戦 10月24日 於・明治神宮野球場

◆結果◆
亜 大   000 000 000 |0
青学大   010 002 00x |3

◆出場選手◆
1 二 藤原夏暉 大阪桐蔭
2 遊 山口翔梧 龍谷大平安
3 一 小田康一郎 中京
4 捕 渡部海 智辯和歌山
5 中 中田達也 星稜
6 三 初谷健心 関東第一
7 指 谷口勇人 大阪桐蔭
8 左 南野倫平 龍谷大平安
9 右 大神浩郎 福岡大大濠

P 中西聖輝 智辯和歌山


先発のマウンドを託されたのはエース・中西聖輝(コ4=智辯和歌山)。中2日での登板となったものの初回から安定感のある投球で相手打線を抑え込む。打っては2回に大神浩郎(総1=福岡大大濠)の適時打で先制すると、6回には初谷健心(総4=関東第一)が決定打となる2ラン本塁打を放った。中西は魂の投球でリードを守り切り、3-0で勝利し、勝ち点を獲得。青学大はリーグ最多タイとなる6連覇を成し遂げ、秋季リーグは幕を閉じた。

負ければ優勝がなくなる大一番で鈴木泰成(社3=東海大菅生)が圧巻の完封勝利をあげ、プロ野球ドラフト会議では中西、小田康一郎(史4=中京)がそれぞれ中日ドラゴンズ、横浜DeNAベイスターズから1位指名を受けた翌日。亜大との3度目の決戦は勝てば優勝、負ければ2位が確定する運命の一戦となった。

大事な一戦、先発のマウンドを託されたのは中西。前々日の第1戦では延長タイブレークの末にサヨナラ負けを喫し、「最後打たれてしまって、エースとして情けない試合になった」と自らを責めた。「ただ僕が諦めたり崩れたりしてしまうと、チームが終わってしまうと強く感じた」とその悔しさを胸に、そして「アマチュア最強、日本一」という今季最大の夢を掴みに行くために、誰よりも強い思いを持って再び神宮球場のマウンドに上がった。試合開始直後から力強いストレートで押し込み、初回には二者連続三振。中日・井上一樹監督も見守る中、序盤からエースの貫禄を示した。

先発は絶対的エースの中西

初回にはリードオフマンの主将・藤原が今季17本目のヒットで出塁を果たす。その後盗塁を成功させ、チャンスを作るもクリーンナップからの快音が響かず、得点とはならない。

ヒットを放った藤原

2回裏、試合が動く。先頭打者の中田達也(社4=星稜)は巧みなバットコントールで3塁線を破る2塁打を放ち、打線を勢いづける。3塁に進塁した中田こそホームで挟まれアウトとなったものの、四球などもあり、2死1・2塁のチャンスを作る。打席に立つのはチーム打率トップの大神。ショートの頭上を越えるタイムリーヒットを放ち谷口勇人(営3=大阪桐蔭)が生還。貴重な先制点を奪った。

中田もバットでチームを鼓舞した

先制タイムリーを放った大神

快投を続ける中西に対し、安藤寧則監督は「バッターがよく見えている。思い描いたボールを投げることを再現できれば、打ち取れる確率は高いと思う。そうした野球勘に長けている」と中西の投球センスを評価する。その言葉通り、中西は打者を冷静に見極め、テンポの良い投球で凡打の山を築く。4回にはわずか5球で三者凡退に抑える圧巻の内容を見せた。

相手を寄せつけない投球を披露

迎えた6回。先頭打者の小田が四球で出塁する。続く渡部海(コ3=智辯和歌山)が送りバントを成功させる。2死2塁とし、打席に立った初谷は「思いっきり振ったら飛んでいった」と振り抜いた打球はレフトスタンドへ一直線。勝負所で強い男の値千金の2ランホームランでベンチは歓喜に沸いた。

今季2本目の本塁打を放った初谷

笑顔でダイヤモンドを駆け抜けた

「頑張れ」「投げ切れ」。今日も球場に響く安藤監督の声に、中西は奮い立った。「その声で視野が広くなって、冷静に投げられる。あの声には非常に助けられていますし、内容どうこうじゃなくて、あの声を聞くというのが自分の力になっている」と指揮官との絆を語った。降雨も続き、ストレートのコントロールに苦しんだ。8回には1死2・3塁のピンチを招き、中西が選んだのは「一番自信のあるフォーク」。ボールの操りが難しい中でも低めに投げ込んでいった。最後は二者連続で三振を奪い、ピンチを脱した。

情熱的な投球は中西の持ち味だ

9回には監督がマウンドへ歩み寄る場面があった。「え、交代なの?」と驚く中西に「違うぞ」と激励。最後は渾身のストレートで見逃し三振を奪い、ゲームセット。3-0で勝利し、史上3校目となるリーグ6連覇を成し遂げた。中西は127球12奪三振で完封勝利。全身で喜びを表し、女房役を務めた渡部と抱き合い、歓喜の輪がマウンドを包んだ。

勝利を飾り、ガッツポーズをみせる中西

優勝を決め、抱き合う中西と渡部

ジャイアンツタウンで開幕した秋季リーグ。青学大は無傷の6連勝で首位を独走していたものの、エース中西の右肘炎症による離脱、東洋大戦での勝ち点喪失と逆風もあった。しかし髙木大希(営1=履正社)や田端竜也(コ1=九州国際大付)ら新戦力もマウンドを守り、打撃不振にあえいでいた主砲の小田や渡部も守備や走塁でチームに貢献。上級生は常々グラウンドやベンチから声をかけをするなどチーム全体で補い合った。まさに「全員戦力」でのリーグ制覇だった。

喜びを分かち合う青学大戦士たち

主将・藤原は10回宙を舞った

6連覇を成し遂げた青学大の次の目標は、神宮大会での日本一だ。主将の藤原を中心に築き上げてきた「藤原世代」はついに集大成を迎える。11月19日、神宮球場のマウンドで再び大輪の花が咲き誇るのを期待したい。

(記事=比留間詩桜、写真=田原夏野・比留間詩桜・山城瑛亮・高木一郎・戸田隼人)


◆選手・監督コメント◆

初谷健心(総4=関東第一)選手

―あの打席振り返ってどうでしたか?

「ずっと中西に助けられてばかりで、いつか助けたいなと思って打席入ったんですけど、1戦目タイブレークで、比嘉君から三振して、やっぱりそこの悔しい思いはずっと持っていたので、「ここは絶対打ち返してやろう」っていう気持ちで立ちました。」

―派手なガッツポーズをしていましたが、どんな気持ちでしたか?

「「勝負強いな、俺」って感じで(ダイヤモンドを)回っていましたね。」

 

小田康一郎(史4=中京)選手

―今日の試合を振り返ってみてどうでしたか?

「『全員戦力』でやっているチームの象徴する試合というか、中西、キャプテン藤原はじめ、副キャプテンの初谷が試合を決めるような一打を打つっていうのは、4年生先頭に立って引っ張ろうって始めたチームなので、それが表された試合かなと思います。」

―6連覇を達成した、今の気持ちをお聞かせください。

「プレッシャーに感じているつもりはなかったんですけど、こう最後、負けたら終わりっていう試合が続く中でこう勝ち切れた瞬間っていうのは思った以上にプレッシャーかかっていたんだなっていうのはありましたし、思ったより嬉しかったです。」

―ご自身は苦しいシーズンだったんじゃないでしょうか。

「そうですね。数字も全く残らなかったので、チームに迷惑かけた部分は本当に大きいと思うんですけど、守備や声掛け、走塁の部分でなんとか、力になれればと思ってシーズンを戦ってたので、力になったかどうかはわからないんですけど、優勝できたので良かったです。」

 

藤原夏暉(法4=大阪桐蔭)主将

―6連覇を達成した、今の気持ちをお聞かせください。

「まずひと安心というか、神宮大会に出場できる権利を得たので。そして目指しているのは(リーグ)10連覇っていうのは言っていたと思うんですけど、そこに向けてもう1つ増やせたことに安心しています。」

―嬉しかったですか?

「そうですね。正直、苦しいとは思ってなかったんですけど、最後やっぱり溢れてくるものがあったので、良かったなと思ってます。」

―このリーグ戦においてキャプテンとして、チームをどのように立て直していきましたか?

「東洋戦で負けが続いてしまったんですけど、絶対に今までやってきたことは間違いじゃないという自信はあったので、とにかくそれを繰り返すというか、もう1回そこから立て直して、コツコツ積み上げていくことをもう1回全員に徹底しようという話をして、その結果、絶対いいものが待っているということも話し合いましたし、監督さんからも、運を掴みきれる準備をしようという話もあったので、その成果かなと思います。」

 

中西聖輝(コ4=智辯和歌山)選手

―今日の投球を振り返っていかがでしたか?

「今日は序盤の方から点も取ってくれましたし、最後、ダメ押しの点も取ってくれたので、自分自身は非常に投げやすく投げられたんですけど、あまり調子が良くない中で、どう組み立てていくかっていうので少し悩みながら、色々寄り道しながらのピッチングでしたけど、結果だけ見れば完封という形で優勝という形になったので、良かったかなと思います。」

―6連覇を達成した、今の気持ちをお聞かせください。

「途中怪我で離脱したりとか、投げられないカードが続いた時に、監督にも迷惑かけましたし、他のチームメイトにも迷惑かけましたし、自分の中では、あまり納得のいくリーグ戦というか、大会ではなかったんですけど、僕が監督に「投げさせてくれ、投げさせてくれ」って言って、監督がその思いを汲んで投げさせてもらって、球数を投げればいろんな批判の声が飛んできたりとか、投げさせすぎやろとか、周りのピッチャー何してんねんみたいなコメントが届いているというのは僕の耳に入っていたんですけど、監督には感謝しかないというか。申し訳ないリーグになってしまったので、なんとか日本一になって恩返ししたいなというふうに思ってました。今日も9回、監督がマウンドに来た時は「聖輝本当に大丈夫か」「怪我だけはしてほしくない」っていうのを、今日も試合前から試合中からもう散々言われたんですけど、もう僕が「行かしてください」っていうふうに志願した登板だったので、なんとかいい結果につながって本当に良かったと思います。」

―ドラフトで夢を掴んだ翌日、このマウンドで平常心でいるのは難しかったんじゃないかと思いますがどうでしたか?

「特に変わらず、僕たちはもうアマチュア最強、日本一というのを常々言ってきたチームだったので、まず今日の試合を勝たないと、もう目標何にも手に届かず終わってしまうので、まず今日勝つというので、なぜかわからないですけど、きれいに自分の心を入れ替えることができたので、朝なんかもすっきり目覚めてから野球のことに集中できましたし、特に昨日のドラフトに関して、引っ張られるようなことはなかったです。」

―中西選手にとって安藤監督はどんな監督ですか?

「これほど僕たちを本当に「後輩」とか、心の底から大事にしてくれている。僕たちの、野球以外の部分、プライベートもそうですし、そういう部分をここまで大事にしてくれる監督っていうのは、日本探してもそうそういない監督だと思うので、監督よく「プレーのことは俺はわからん」って言うんですけど、本当に野球以外の面で、成長できる部分をたくさん持っている監督。もう熱量なんかは特にそうですけど、こだわりだったりとか、そういう部分は僕の野球人生というか、人間として、大人になるにつれてかなり勉強した監督です。」

―青学大に入学してきた時はどんな人間で、今どんな人間に成長できたと思いますか?

「(入学時は)本当自己中心的というか、あまり周りが見えずに僕が良ければそれでよかったっていう人間だったんですけど、今はどちらかというと、周りで喜んでる姿を見たいというか、親を喜ばせたい、監督を「日本一の男」にしたい、チームみんなで喜びを分かち合いたいというのを心の底から思えるようになったので、そういう部分は自分の心の成長かなと思います。」

 

安藤寧則監督

会見で涙ぐむ安藤監督

―優勝した今の気持ちをお聞かせください。

「やっぱりすごいなと思いました。よく頑張ったなっていう。」

―最後勝ち切れた要因は何だったと思いますか?

「日頃の積み重ねというところで、色々いい時もあれば悪い時もあったりとか、気持ちが乗る時もあれば乗らない時もあったりとか。でもそういう中でもみんなでなんとか日々頑張ってきて最後こういう風に、結果として出たかなと思います。」

―6連覇という偉業を達成したことに関して、どう感じていらっしゃいますか?

「今年7年目なんですけど、色んなことがあって学校から依頼されて、何の実績もないこの僕がお引き受けしてというところから始まって。(当初は)2部だったんですね。そこから本当に、1年目の4年生からみんなで、積み上げてきたという言葉もあるんですけど、もう繋いできたという感じが強くて。だから本当にみんなで、1つ1つ繋いでいった積み重ねの結果です。」

―今選手たちの言葉を聞いて、改めてお気持ちを聞かせてください。

「自慢の後輩なので、一人一人本当に思いを持ってご縁をいただいてきましたので、頑張っている姿も見てきて、絶対やってきたことを正解にしたいっていう。勝つということが1つの正解という勝負の世界でもありますので、そういったところは一緒に正解にしていきたい。そして青学進学を選んだことで、この4年間で成長して、選択自体を正解にしたいという思いでやってきましたので、もう本当に自慢の後輩たちです。」

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