【硬式野球】最終回に追い上げもあと一歩及ばず…リーグ制覇の夢は後輩へ託す

硬式野球

 

東都大学野球 秋季1部リーグ 対駒大 第3回戦 10月25日 於・明治神宮野球場

◆結果◆
駒 大 201 000 000|3
青学大 000 000 002
|2

出場選手
1 中 中島大輔 龍谷大平安
2 左 山中稜真 木更津総合
3 遊 山田拓也 東海大相模
4 三 佐々木泰 県岐阜商業
5 指 小田康一郎 中京
6 一 田野孔誠 聖光学院→西川史礁 龍谷大平安→小鷹葵 中越
7 二 藤原夏暉 大阪桐蔭→片山昂星 東海大菅生
8 捕 佐藤英雄 日大三→松本龍哉 盛岡大附→冨樫智也 関東第一
9 右 中野波来 大阪桐蔭→初谷健心 関東第一

P  北村智紀 龍谷大平安→常廣羽也斗 大分舞鶴


勝てば優勝が決まる試合でまさかの逆転負けを喫し、青学大の自力優勝が消滅してから約1週間。最高気温15度と冷え込む秋の神宮で、明治神宮大会への切符を賭け秋季1部リーグ戦が行われた。自力優勝こそ消滅したものの、青学大は残された優勝の可能性を胸に駒大3回戦に挑んだ。

青学大の先発はこれまでチームを幾度となく救ってきた北村智紀(龍谷大平安)。大学ラストイヤーとなるエースは優勝決定戦の可能性を信じ相手打線に立ち向かった。

先発した北村。大学ラスト登板となった

だが、期待とは裏腹に初回から駒大に主導権を握られてしまう。初回いきなり先頭をセンター前ヒットでの出塁を許すと、盗塁と進塁打で2死3塁のピンチに。4番を四球で歩かせ1,3塁としたところで打席には5番・岩本。岩本の放った打球はレフトへの浅いフライとなるも、この日左翼の守備についていた山中が動き出しで体制を崩しまさかの落球。滞空時間の長いフライだったことも災いし1塁ランナーも生還。いきなり2-0とリードを許す展開となった。

なんとか早めに追いついておきたい青学大。しかし気持ちが先走ってしまうのか、はたまたプレッシャーからの力みからか、なかなか攻撃のリズムがかみ合わない。初回は三者凡退に終わり、2回は佐々木がチーム初ヒットで出塁するも併殺に打ち取られる。

青学大が苦戦している一方で、駒大打線はさらに畳みかける。3回、四球で出塁したランナーを犠打で堅実に2塁へ送ると、3番・与倉がレフトへの2塁打を放ちあっという間に3点目を奪取。リーグ戦最終登板の北村をマウンドから引きずり下ろした。

ベンチに戻る北村

代わってマウンドを任されたのは、今季圧倒的な投手成績で青学大の躍進を支えた常廣羽也斗(大分舞鶴)。これ以上の失点はなんとしてでも避けたい状況で打者2人をキッチリと抑え、リリーフエースの役目を果たした。

2番手として登板した常廣。今日も圧巻のピッチングだった

3回終了時点で既に3点差がつき、これ以上点差が開くことは避けたい青学大。走者こそ出るも、得点には至らない攻撃が続いた。4回はキャプテン山田が2死から四球で出塁するも後続が続かず残塁。5回は藤原夏暉(大阪桐蔭)が2死からヒットと盗塁で得点圏まで進むも、捕手からの牽制に戻れずタッチアウト。

2塁打でチャンスを演出した藤原

藤原は捕手からの牽制に戻りきれずタッチアウト

6回は2死から山中稜真(木更津総合)が四球で出塁するも後続が続かず。7回もやはり2死から西川史礁(龍谷大平安)、藤原が連続ヒットで2死1,2塁のチャンスを作るが、チャンスであと一本が出ず。序盤に失った流れがこちらに傾くことはなく、スコアボードには淡々と0の文字が刻まれた。

打線が思うように駒大投手陣を攻略できないなか、常廣は援護を信じて圧巻のピッチングを披露。4、5,6,7回をパーフェクトに抑え、自己最速タイの153km/hも計測した。

試合終了まで残り2イニングとなった8回裏の攻撃。無死から中野波来(大阪桐蔭)が四球、中島大輔(龍谷大平安)がヒットで無死1、2塁と絶好のチャンスを作る。しかしまたしても悪い流れは断ち切れず、無得点で終わってしまう。打線が攻めあぐねるなか常廣は変わらず快投を継続。9回も3人で終え、6回2/3を自責点0無安打6奪三振の内容で味方の援護を待った。

投手陣の力投に何としてでも答えたい状況。9回裏1死からようやく打線が動き出した。先頭が倒れた後、指名打者・小田康一郎(中京)がヒットで出塁。

ヒットを放つ小田

ここで代打に起用された4年生・片山昂星(東海大菅生)がライトへのタイムリー3ベースヒットを放ちついに1点を返すことに成功する。

片山の大学最終打席はタイムリースリーベースに

ただでは終わらないのが青学大の強みだ。片山に続いて代打で起用されたルーキー松本龍哉(盛岡大附)もライトへのタイムリーで起用に応え1点差に迫った。

4年生が打てばルーキーも打つ。松本も続いてタイムリー

あと一点で同点。優勝への望みを残すため、一打同点の状況で3連続となる代打・初谷健心(関東第一)の名がコールされる。4年生と一日でも長く野球をするべく、どんな形でも後続へ繋ぎたい場面だったが結果は内野ゴロ。試合終了。この瞬間、青学大の優勝の可能性は消滅。4年生のシーズンが終了した。

試合終了後、山田の号令と共に青学大ナインは深々と1塁スタンドに頭を下げた。少し悔しそうな表情ものぞかせながら、最後のシーズンをやり切った4年生はすがすがしい表情で神宮を去っていった。

試合終了後、応援スタンドに挨拶する山田

2部リーグ時代から「あと一勝のところで勝ちきれないところが課題」と野球に打ち込んできた。昨秋も1勝差で優勝を逃し、今季も勝てば優勝の試合で勝ちきれず國學大に優勝を譲った。惜しくも優勝の夢は叶わず、来年に持ち越しとなった。

しかし、同時に彼らの戦いぶりは優勝への可能性も示してくれた。結果こそ3位に終わるも、2年連続で優勝争いを演じた実力は本物だろう。2006年秋以降の東都制覇はお預けとなったが、また来年以降、青学大の試合を見るのが楽しみになる、そんな気持ちにさせてくれるシーズンだった。

最下位決定戦と優勝争いを一年で経験した青学大ナイン。4年生はこの日で大学野球が終了。入学当時は長らく2部に沈むチームだったが、現4年生の活躍もありチームは1部でリーグ優勝を争うまでに成長した。目の前で逃した東都制覇の夢を、後輩へ託し彼らは新たなステージに進む。来年以降も神宮で戦う1〜3年生が彼らの意思を組み、優勝の2文字をきっともたらしてくれるだろう。

(記事=渋谷聡志、写真=渋谷聡志、川﨑史緒、童野翔也)


選手・監督コメント

安藤寧則監督

-6連勝後勢いが止まってしまったが、要因は

何かしら、後付けでも理由は考えなきゃいけないですけど、まあそこはゆっくり、後で考えたいと思います。全てここで出ることがやってきたことの答えというか、そういうことを噛み締めながら、自分自身も選手と一緒に一戦一戦、日々過ごしてきたので、これを受け止めなきゃいけないっていうだけで、次に繋げるしかないし。予習復習、復習予習とその繰り返しだと思うので。うーん、ちょっとうまく言えないですね。

-今シーズン優勝できる力を示した。来シーズンに向けどう生かしていくのか

粗探ししてでも、良い意味でのタラレバを見つけていって、そこを埋めていくことっていうのが必要だと思うし、一人一人の意識っていうのも丁寧に日々当たり前のレベルを上げていったりとか、チームのものさしっていうものをもっと明確にしていきたいかなっていうところはありますね。選手は本当にこう、やってくれているというか。自信持って送り出しているので。もっといいものっていうこの悔しさを次、どういうふうに繋げていくかもまた日々選手と一緒にやっていきながら、もっともっとレベルアップさせていきたいなと思います。

山田拓也選手

-最後のシーズンで優勝を惜しくも逃したが

最後結果的には優勝できなかったので、僕の力不足というか、そういうのを感じましたね。

-失速理由は

特別内容が良くて勝っていたわけでもなかったので。うまくいかない時の力が本来の姿だと思うので、最後踏ん張れなかったのが自分たちの実力なのかなと思います。

最後のシーズンとなったが、得たもの、感じたものはあるか

最初は2部にいて、2年生から3年生になるタイミングで先輩のおかげで1部に上がって、1球で勝敗が決まる厳しい世界で野球ができたことは僕のこれからの野球人生に生きてくると思うんで、まあ、大学野球が終わったので、しっかり、ゆっくり自分で反省して次に繋げられたら良いかなと思います。

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