大学三冠の快挙を成し遂げた今年のチームの4年生は、先日の明治神宮野球大会で青山学院大学硬式野球部を引退しました。青山スポーツでは4年生全15名にインタビューを行い、この4年間を振り返っていただきました。最上級生としてチームを牽引してきた選手・スタッフの皆さんの熱い言葉を全10回に渡ってお届けします。
第4回は手塚悠(社4)選手編です。
内野手唯一の4年生として大学最後のシーズンを迎えた手塚悠(社4)。手塚はこの1年、春のリーグ戦の序盤にはスタメンで試合に出場することが多かったが、徐々に途中出場が増えていき、最初から試合に出られない悔しさが芽生えたと振り返った。その悔しい気持ちがありながらも、チームのために行動したという手塚。今年は「4年生としての自覚」が出たのではないか、と手塚は感じていた。もちろん、試合に出られないというのは悔しいことだ。だが、「そこで腐ってしまうのは簡単なこと」だと話してくれた。「チームのために自分が何が出来るか」というのを第一に考えながら試合に臨んでいたという。試合中には積極的に声掛けをする姿や、下級生が守っている際にポジショニングを動かす姿がよく見られた。「下級生が守ってるから自分は何もやんないとかそういう気持ちは一番持っちゃいけないと思ってたんで、色々と指示をして、チームのプラスになるようにっていうのは心がけてました。」と語ってくれた。
だが、内野手唯一の4年生だったためにプレッシャーに感じていたこともあった。「最初の方は、自分が引っ張ってやらなきゃっていう責任感があった」と振り返る。責任感が強くなるほどにプレーも上手くいかなくなってしまった。そこで、「下級生と一緒に作り上げていこう」という思考に転換すると、上手くいくようになった。「自分が抜けても来年は大丈夫」だと手塚は言う。下級生と同じ目線に立ってチームを作ってきたからこそ言える言葉だろう。
手塚は青学大野球部について、少数精鋭でやっているからこそ「一人一人の意識で良い方向にも行くし、悪い方向にも行くと思う」と話した。部員数が少ないため、一人一人が部全体に及ぼす影響や自分の役割に対する責任も大きくなる。部員数の多い高校でプレーしてきたからこその気づきでもあるだろう。青学大野球部はかなり自由な環境で、怒られることも少ないそう。その中でどのようにやっていくかが大切であると手塚は考える。「そこが崩れてしまうと良いものを持っていても良い結果が出ないっていうような環境になっている」と話してくれた。このように自由でありながらも緊張感のある環境で練習出来たことが、大学三冠という結果に繋がったのではないだろうか。
掴み取った1部昇格。昨年に経験したプレーオフ。そして、17年振りのリーグ優勝。先輩方が積み上げてきたものがあったからこそ、今の4年生の代があると手塚は振り返った。 青学大野球部での経験を胸に、手塚は来年から社会人野球の強豪・パナソニックでプレーする。新たなフィールドでも活躍する手塚悠の姿から目が離せない。
(記事=田原夏野、写真=遠藤匠真、川崎史緒、童野翔也)
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