先日発刊した「アオスポ」12月号の1面では、「德澄主務の想い 友のために命を捨てること、それ以上に大きな愛はない」を掲載した。本記事では、紙面の都合上載せきれなかった德澄主務の言葉を紹介する。主務として奮闘した1年間、その中で生まれた部員とのエピソード、マネージャーとしての6年間の振り返りなどさまざまな“想い”を語ってくれた。
また、インタビューの途中では「アオスポ」3月号で德澄主務が語った「期待している選手」にも触れている。3月に德澄主務が名を挙げた選手は今季すべて活躍を見せており、その先見性にも注目だ。

出雲駅伝開会式にてプラカードを持つ德澄遼仁主務
―主務の仕事について教えてください
德澄:まずはチームのマネジメントです。その中で、まずマネージャーの基本的な業務として、練習中の給水、タイム計測、練習の準備とか片付けがあります。マネジメントの面では、監督が練習の大きな流れを決めていくので、主務としては細かい一日の流れを決めたり、誰がどの試合に出るかをコーチと相談したりしています。とはいえ学生なので、あくまで学生の中の四役という立場にも該当するので、選手とのコミュニケーションだったりとか、選手と監督の橋渡し的な立場にもなったりします。
―今年の主務としての活動を振り返って、大変だったことを教えてください
德澄:大変だったのは、前期シーズンに監督から「このままだと負けるよ」ということ言われていたので、チームを一枚岩にさせる、できるだけ方向を揃えるのは、やっぱり大変な作業でした。もともと4年生が優しいというか、人に深くは干渉しないようなタイプだったので、その分自分が後輩に指導したり厳しいこと言ったりする立場・役割にならなくてはいけないのは自覚していました。しかし、実行するのは大変でした。
―やりがいを教えてください
德澄:もちろん、選手が結果を出してくれた時が1番やりがいを感じます。そしてそこで、プラスアルファで「德澄さんのおかげで」とか言ってくれるとすごくやりがいを感じます。
―部員との特別なエピソードはありますか
德澄:例えば、僕がミーティングの時とかに「あと1人当たり何秒(縮めること)で、平均が何秒になる」みたいなことをさらっと言ったりするのですが、そのときに1年生とかが「じゃあ自分何秒やります。」「何秒自己ベスト更新します」と僕がいないところで言っていました。しかもコーチにも「何秒は僕がやります」「僕がチームに貢献します」と宣言していたそうです。コーチはそのミーティングにはおらず、(僕がミーティングで「あと1人当たり何秒(縮めること)で、平均が何秒になる」と言った)話を知らないのに。そういうのを聞くと、「ああ伝わっていたんだな」と思います。
―すごいですね
德澄:あとは折田(壮太、コ2)かな。折田と安島(莉玖、社2)。折田は、日体大記録会(2025年6月1日開催)で男子5000㍍の日本選手権の標準記録を突破したとき、「(13分33秒32)出してやりましたー!」って抱きついてきてくれました。折田に関しては去年の後期からちょっと面倒見ていて。ずっとケガをしていたから、厳しいというより寄り添う感じで接していました。そこでこっち(德澄のところ)に来てくれたのは嬉しかった。
安島も特に僕が何かしたわけではないけど、全日本インカレ(2025年6月5日~8日開催)の男子1万㍍のあと、僕の顔を見て真っ先に「德澄さん~!」と飛び込んできてくれたときは嬉しかったです。
―コミュニケーションも大事にしているとおっしゃっていましたが、すごく親しみもあり、ときに厳しさもあるような大切なポジションにいらっしゃいますね
德澄:うまくいってるかな(笑)。うまくいってるといいな。

世田谷ハーフマラソンにて選手を笑顔で送り出す德澄遼仁主務
―マネージャーとして駆け抜けた6年間をふり返ってみての想いは
德澄:ちょうど振り返っていました。すごくよい経験をしているなあというか、させてもらってるなあと思っています。もちろん最初にマネージャーになったときは、高校1年生だったのですが、やっぱり選手を続けたかったっていうのは本心だし、なんなら、今だって(そう)。この時期になると「箱根(駅伝)走りたかったな」「選手を続けていたらどうなっていたかな」。そういう夢物語は、僕の中でも考えます。それでもなかなかね、マネージャーを6年間させてもらうことってなかなかないし、それを認めてくれる高校時代の監督だったり、もちろん今の原監督とか、認めてくれていることには本当に感謝しないといけない。特にこの青学では、マネージャーで入部するのは異例中の異例だったので、それを何も言わずに受け入れてくれている選手には、本当に感謝したいです。
―続いてチームについてお聞きします。まず、徳澄さんから見た今年のチームの特徴は何ですか
德澄:学生が65人いるのですが、 六十五人、六十五色。それぞれの個性が、良くも悪くも光っている。そんなチームかなと思っています。
―今年期待している選手を学年ごとで教えてください。
德澄:(たくさん)いすぎるな(笑)
―そうですよね。それでは、エントリーメンバーの中からでお願いします。
德澄:4年生は、荒巻かな。安定感抜群だし、どこを任せても安心して見ておけるし。そして2年前の経験もあることから、やっぱりチームを引っ張ってもらうには、キーマンの存在だなと思っています。特に今年1年すごい 4年生として引っ張る姿を見せてくれたので、かつ下級生からもすごく慕われているから、あの荒巻が走ること、後ろで走ったこと、前でこれから待っていること、それだけで下級生も頑張ってくれるかなと思ったりします。
3年は、平松にしようかな。やっぱ1年目からこれだけあのエントリーに入ってというのを考えると、もういつ走ってもおかしくない力があります。3年生になって、上級生になって、その覚悟が特に見えてきた選手かなというふうに思うので、ぜひ走って爆走してほしいなと思います。
2年生は(かなり考えて)飯田かな。あの春先のエキスポ駅伝とか宮古島駅伝で見た感じ、本当にもう駅伝走れるはずの選手だと思うので。なんなら、2区とか3区といった主要区間でエースが集うところで戦って欲しい。将来的にでも今年でも、主力区間で戦ってほしい。勝ち切ってきてほしいなと思っています。
1年生は上野山(拳士朗、国経1)で。あくまで僕個人の考えなので、全然監督からしたら評価は変わるかもしれないですけど、今年往路走らせてもなんかいけてしまう気がして。とんでもない選手が後ろから来たとしてもひょっと後ろについて、そのままついて行っていったりできそうなポテンシャルというか、ちょっとぶっ飛んでる感じがあると思うので、将来的にも往路を走れると思うので、(そういった観点からも)1年目から期待したいです。
―ちなみに、青山スポーツ新聞「アオスポ」の2025年3月号のインタビューのときにも期待している選手を聞いたのですが、それがすごく当たっているなと思いました。
德澄:ありましたね!なんて言っていましたか(笑)。
―まず3年生について。「高校から見ていた村上(直弥、社3)が爆発するかもしれない」と。村上選手は合宿の坂TTで3位に入りましたね。そして「中村海斗(コ3)は、そろそろやってくれるだろう」と。中村選手、見事箱根駅伝エントリー入りしました。
德澄:たしかに、言いましたね。
―続いて2年生について悩まれていましたが、「小河原(陽琉、総2)はもちろん、飯田翔大(社2)、安島や佐藤愛斗(コ2)。折田は、去年苦しんだ分復活してほしい。ドラフト 1位の復活に期待」と。他にも悩みながらたくさん名前を挙げていましたが、小河原選手は安定に駅伝出走、飯田選手も駅伝デビュー、安島選手は全カレで堂々の結果を残し、佐藤愛斗選手は世田谷ハーフで3位青学唯一の表彰台。そして折田選手は関東インカレ(2025年5月8日~12日開催)、駅伝デビュー、そしてMARCH対抗戦(2025年9月24日開催)で記録を残すなどお見事ですね。
德澄:そうですね!
―あとは「1年生はみんなセンスある」と。最後に4年生は「有一(佐藤有一、史4)も主力になれると思う」と。
德澄:(我ながら)よく見ていますね(笑)。
―感想はありますか
德澄:あのときはむしろ「行ってくれなきゃ困る」くらいのメンバーを言っていました。順調に成長してきてくれて嬉しいです。1年生が想像以上に強いなというのは、あの頃より感じています。箱根には3人のみがエントリーしましたが、出雲・全日本ではまた違う神邑(亮佑、社1)や椙山(一颯、コ4)といったメンバーが走っていて。かつまだギリギリ当落線上だった選手も追加でいるから、強いというところで見るともしかしたら、最強世代と言われている2年生に匹敵するくらい強いかもしれないです。
―それでは、今年のチームを主務として振り返っていかがですか
德澄:最初、「勝つ確率0%」と、監督から言われてからのスタートで、そこは自分たちも覚悟していました。その中でチャレンジャーとして、ただ王座としてのプライドも忘れずに戦っていこうということで、去年の4年生が抜けた今、誰かに頼るのではなく全員が全員の立場でチームに貢献しようというような目標を立てて始動した1年でした。しっかりここまで、それを体現してくれているなあと思います。全員が頑張ってくれて、前期から自己ベストを出す選手が多かったです。夏も全員ですごく走り込んだし、それぞれがちゃんと考えて、チームにどう貢献できるか考えながらやってくれているなと思っています。
―まさに「俺が青学を勝たせる」を体現しようとしてきたのですね
德澄:駅伝がああいう結果(出雲駅伝7位、全日本大学駅伝3位ではありましたが、それを経て「このままじゃまずい」とすごい緊張感を持ち始めました。箱根駅伝に対しては、すごくよい雰囲気の中で臨めるかなと思います。特にMARCH対抗戦でほぼ全員がPB(自己ベスト)を更新したのがすごく嬉しかったです。特に嬉しかったのが1組目、2組目でも、しっかり結果出してくれたことです。例年だったら1組目とかは31分、32分台がたくさん出ている中で、全員が30分を切って29分半くらいできて、それができる今年のチームはすごい一体感が出てきたなと今思っています。
―チーム全員で頑張ってきたこの一年間、徳澄さんにとっても、6年間の集大成が発揮されるときが近づいてきていますね
德澄:6年間の振り返りがサラッといってしまったので、座右の銘を最後に残していってもよいですか。
―ぜひお願いします!青学駅伝アプリに乗っているものでしょうか
德澄:そうです!「友のために命を捨てること、それ以上に大きな愛はない」これ、聖書の言葉なんです。
―そうなのですね。大学で出会った言葉なのですか
德澄:いいえ。高校でマネージャーになる前から見つけていました。監督からこういう言葉があると言われて、いい言葉だなと思っていたら、偶然なのか運命なのか、次の日の朝礼で偶然同じ言葉が取り上げられていました。「あれこれ昨日の(監督から聞いた)言葉じゃん」と思いました。改めて「あれ、これいい言葉だな。巡りあわせなのでは」と思い、そこからずっと覚えています。
―すごく思い入れがある一言なのですね
德澄:そうです。これは僕の中で一番大事にしようと思っていて。特に(この言葉を聞いたのが)マネージャーになってからだったので、選手のために命を捨てる覚悟で頑張ろうと思えたこの言葉が、座右の銘です。
―貴重なお話をありがとうございます。それでは、今回のエントリーメンバー16人へ一言お願いします
德澄:16人の段階だと、やっぱり走ることを目標にしないでほしいというのが1つのメッセージとしてあります。今年は特にもう朝日(黒田朝日、地4)以外ほぼ横一線の状態と言っても過言ではないので、誰が走るかわからないけど、もう今やっていることは監督が作っている「原メゾット」なので、それを信じて、やることはちゃんとやっているので、最後まで集中してほしい。部内競争だけではなくて、走った先に誰が他の大学とどれだけ戦えるかというところを一番の目標としてやってほしいなと思います。
―約2週間後、走る10人に応援コメントをお願いします
德澄:とにかく自信を持ってスタートラインに立ってほしい。経験者が少ないもんで、何が懸念点かというととにかく経験値が足りないことが、一番の弱みかなというふうに思っています。ただ、その経験値以上に、去年以上の結果と去年のチーム以上の強さがあるはずなので、あとは自信を持ってしたスタートラインに立てれば、おのずと結果がついてくると思います。不安がらずに堂々と戦ってほしいと思います。
―最後に、箱根駅伝に対する意気込みをお願いします
德澄:もう箱根駅伝自体は後ろから監督とわあわあ言いながら、見ておくことしかできないので、それまでの期間もあと残り2週間ですけど、これまで6年間培ってきた経験を存分に発揮する最後の集大成の期間だと思っています。これまでの気持ちを全面に出して、選手とチームを最後まとめていけたらなと思います。
―本日はお忙しい中、本当にありがとうございました!

青山キャンパスで行われた箱根駅伝壮行会の德澄遼仁主務
(取材=成田紗耶加、東島蒼空、記事=成田紗耶加)



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