【陸上競技】パワフルな選手層で圧倒!2年ぶり6度目の総合優勝!

陸上競技

第98回東京箱根間往復大学駅伝競争 1月2日~3日 於・大手町〜箱根・芦ノ湖

◆結果◆

総合1位 10時間43分42秒

<順位>
1位 青山学院大学
2位 順天堂大学
3位 駒澤大学
4位 東洋大学
5位 東京国際大学
6位 中央大学
7位 創価大学
8位 國學院大学
9位 帝京大学
10位 法政大学

往路1位5時間22分06秒

1区志貴勇斗1:01:25 区間5位
2区近藤幸太郎 1:07:09 区間7位
3区太田蒼生 1:01:00 区間2位
4区飯田貴之 1:01:46 区間3位
5区若林宏樹 1:10:46 区間3位

復路1位5時間21分36秒

6区髙橋勇輝 59:03 区間8位
7区岸本大紀 1:02:39 区間賞
8区佐藤一世 1:04:49 区間2位
9区中村唯翔1:07:15 区間賞区間新
10区中倉啓敦 1:07:50 区間賞区間新



青学大が2年ぶり6度目の総合優勝を果たした。往路から二人の1年生を起用し、3区でトップに立つとそのままトップの座を守った。2位と2分37秒の差をつけて往路はフィニッシュ。復路では2位との差を縮めず、3区間で区間賞と圧倒的な力を見せつけた。さらに9、10区で区間新記録を樹立し、大会新記録での大手町にフィニッシュ。9区の中村唯翔は金栗四三杯も手にした。

◆往路◆
1区 志貴勇斗(教2)

1区区間5位の志貴

山形産、163cmの小柄なスターが誕生した。2年ぶりの王座奪還に向け、史上最強の選手層で挑んだ青学大。スターターに抜擢されたのは志貴勇斗(教2)。先日の全日本大学駅伝では1区4位でまとめた彼が、区間5位と見事な箱根路デビューを飾った。昨年は牽制し合い超スローペースとなった1区。各校の思惑が交差する中、早々に吉居(中大)がハイペースで集団から抜け出す。しかし「チームの優勝のため、倒すべきは駒澤。そのためには集団の中で勝負をしよう」と冷静に2位集団の中ほどに位置取った。勝負が動いたのは18km付近。六郷橋の上りで先頭の東海大、駒澤大が仕掛けると、志貴は上半身や右腹部に痛みを感じながらも、「4年生に勝たせてあげたい思いで最後力を振り絞った」と、スパート。ラスト1kmで駒澤にリードを許したものの、トップと45秒差、ライバルの駒澤大とは6秒差の区間5位でタスキを繋いだ。原監督から1区出走が言い渡されたのは、なんと1週間前。大事なスタート区間だけに、最初は不安やプレッシャー感じたという。しかし全日本での自身の好走が背中を押した。「当日は自信を持ってワクワクした気持ちで舞台に立てた」と夢の舞台を明るく楽しんだ。重要なスタート区間で良い流れを作り、総合優勝に貢献した志貴。来年以降は「チームの主力を張れる選手になりたい」と覚悟を語る。力強い走りで先頭を独走し、ファンの注目を「か志貴り(貸し切り)」する姿に期待だ。

2区 近藤幸太郎(営3)

2区を区間7位で走った近藤

近藤幸太郎は先頭の中大から遅れること45秒差の5位でタスキを受ける。前には駒大・田澤、後ろからは東国大・ヴィンセントなどが迫ってくる中、近藤は自分のペースを刻み続けた。前を行く3人を抜き田澤を猛追する。しかし、駒大・田澤は区間賞の走りでトップを守り抜いた。田澤との差は開くも、近藤は後ろからの留学生らの追撃を許さなかった。終盤に入っても冷静な走りで区間7位の1時間7分09秒の好タイムで3区へタスキを繋いだ。

3区 太田蒼生(コ1)

3区区間2位でトップへと導いた太田

3区を走ったのはトラックシーズンから安定感を見せてきた太田。これが3大駅伝デビュー戦だった。エース・近藤から2位で襷を受けると、早くも後ろから東国大のエース・丹所健に追いつかれる。しかし、ここから太田は冷静だった。丹所の後ろに付き上手く利用しながら並走。13キロ付近で前を走っていた駒大・安原を捉える。丹所とともに並走した後、18キロ過ぎで太田がスパートをかけてトップに立つ。このまま平塚中継所まで押し切り、区間2位のタイムかつトップで4区飯田主将に襷を渡した。1年生とは思えないようなクレーバーな快走を成し遂げた。

4区 飯田貴之(総4)

4区区間3位で後ろとの差を広げた飯田。嬉し涙を流していた


1年生の太田からトップで襷をもらったのは青学大キャプテンの飯田貴之(総4)。飯田は1年の時から箱根で起用されている。前々回大会では、五区の山登りで区間新記録を叩き出し、優勝メンバーとして名を連ねた。正に箱根を知りに知り尽くした男、飯田が4区に登場。キャプテンとして迎えた最後の箱根駅伝。過去3回ではあと一歩届かなかった区間賞を狙うべく勢いよくスタートを切った。前半から快走を見せた飯田。8キロ地点をOBの吉田祐也(20年教卒)が持つ区間新記録より早いペースで駆け抜ける。さらに2位を走る東国大とは、中継所で12秒あった差を9キロ地点で約1分まで広げた。15キロ地点、仲間からの力水を受けとり、一気に山へ向けてギアを上げていく。5区に待つは1年生の若林宏樹(地1)。少しでも多くのタイム差をつけて襷リレーしたいところ。残すところあと1キロの20キロ地点。「笑顔で襷を渡そう」。原監督からかけられる声をパワーに変え、ラストの力を振り絞る。王座奪還に向け、笑顔で若林に襷リレーした。11月に行われた全日本駅伝。飯田はアンカー対決で、8秒という僅差で駒沢大の花尾に惜敗し、悔し涙をのんだ。“かりは箱根で返す”そう堅く誓い、挑んだ今レース。エースとして、そしてキャプテンとして意地を見せ、捲土重来を果たした。

5区 若林宏樹(地1)

5区区間3位の好走を見せた若林

5区を担ったのはルーキー若林宏樹(地1)。若林は2位に1分37秒差、先頭でタスキを掛ける。最初のチェックポイント函嶺洞門では区間13位とゆったりとしたペースで走り始めた。後ろから激坂最速王決定戦の学生王者である國學院大・殿地琢朗や前回5区区間賞の帝京大・細谷翔馬が追ってくる1年生には大きなプレッシャーがかかる展開であった。しかし、2つ目のチェックポイント大平台では区間5位と本格的な上りに入ってからペースアップ。芦之湯のチェックポイントでは区間1位のタイムで通過をしたが、頂上付近から山中で影を潜めていた風が吹き始めた。出雲駅伝、全日本大学駅伝での悔しさを晴らす快心の走りを魅せ区間3位で2年ぶり5度目の往路優勝のゴールテープを切った。

<復路>

6区 髙橋勇輝(国経4)

後ろとの差を詰めさせない4年生らしい走りを見せた髙橋

二年連続の山下りを任されたのは副将の高橋。箱根駅伝をもって競技を引退する高橋は、57分30秒のタイムを目指し攻めた走りでスタートした。5.1㌔地点では2位の帝京大と2分53秒差を保ち冷静な走りを維持した。11.6㌔地点では思うようにタイムが伸びず何度も時計を確認する場面が見られた。最後の3㌔は時折苦しそうな表情も見せたが、原監督の「絞り出してこい、最後の箱根駅伝だ」という掛け声を糧に最後の力を振り絞り、トップで岸本に襷を渡した。

7区 岸本大紀(社3)

2年ぶりの箱根駅伝で区間賞の岸本

軽快な走りでスタートしたのは青学大の駅伝男こと岸本。2年前の箱根路ではルーキーながら区間賞を獲得し、その名をお茶の間に知らしめたが昨年は怪我で出走が叶わず給水係にまわった。「4年生に勝利を捧げます」と本紙に誓った岸本は14㌔地点で2位、駒澤大との差を3分37秒に伸ばし、完全復活を思わせる安定した走りを見せた。「区間賞出るぞ!」という原監督の掛け声と共に平塚中継所にサングラスを外し突入した岸本。歴代5位の好記録、1時間3分27秒で箱根路を走り切った。今大会、青学大初の区間賞をもたらし駅伝男の名にふさわしい活躍だった。

8区 佐藤一世(総2)

8区区間2位の好走を見せた佐藤

平塚中継所で待っていたのはロードに強い佐藤一世である。1位でタスキを受け走り出す。後ろからは日本選手権3位と一万㍍27分台という記録を持つ駒大・鈴木芽吹が追ってくる展開であった。10月の出雲駅伝を終え左足を痛め、12月にも発熱の影響で練習をできていない期間があった。しかし、やはり走ると駅伝男の力を発揮した。茅ヶ崎で区間4位遊行寺、影取では区間3位と通過をした。駒大を引き離し続け優勝への独走態勢を築いた。戸塚中継所に現れた佐藤は笑顔で楽しいという言葉を添えて区間2位のタスキリレー。

9区中村唯翔(総3)

9区で区間新記録を樹立した中村


9区を任されたのは3年の中村唯翔。8区佐藤から1位で襷を受け取り、最初の5キロを14分15秒で走り区間新記録のペースで入った。その後も快調に走りペースを落とすことなく首位を独走。膝から下が柔らかい綺麗なフォームで、復路のエース区間に恥じない走りを披露した。
序盤から快走を見せた中村は失速することなく終盤も独走。地面を強く蹴り出すダイナミックな走りで2位以下を寄せ付けなかった。昨年2区で14位に終わった悔しさをバネに、アンカーの10区中倉へ最後までトップを維持して襷を渡した。区間タイムは区間新記録の1:07:15。中央学院大OBの篠藤氏が打ち立てた1:08:01の区間記録を14年ぶりに更新した。
更に2位との差を4:32から7:56まで広げ、総合優勝を大きく引き寄せる活躍を果たした。

10区中倉啓敦(社3)

10区を区間新記録で走った中倉

中村の区間新記録のあとを受けて走り出した中倉。2位と7分56秒と大きな差があったが、決して守りには入らなかった。最初の1キロを2分45秒で入ると、復路新記録、大会新記録更新に向けてハイペースでレースを進める。20キロを過ぎても力強い走りで区間記録を目指した。21キロを過ぎて原監督から「お前すごいぞ」の声を受けた中倉。日本橋からの最後の1キロも勢いよく走り抜け、笑顔でゴールテープを切った。中倉は2020年に創価大・嶋津が樹立した10区の区間新記録を塗り替え、さらに2020年の青学大の大会新記録をも塗り替えた。

パワフル大作戦は大成功。出走した選手、控えに回った選手だけでなく、マネージャースタッフ全ての人で掴んだ総合優勝だ。昨年の4位という結果、出雲・全日本駅伝での2位という結果を通して強さが増した青学大。次は3年生以下が3大駅伝3冠に向けてスタートを切る。

(記事・1区=山口美海、2区・5区・8区=阿部夢杏、3区・10区=石岡亮、4区=鈴木美衣、6・7区=堀井香菜子、9区=渋谷聡志)
(写真=遠藤匠真)

 

 

 

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