【硬式野球】史上初・全日本選手権三連覇ならず… 志半ば、準決勝に散る 2年連続大学四冠も逃す

硬式野球

第75回全日本大学野球選手権大会 対東北福祉大 準決勝 6月14日 於・明治神宮野球場

◆結果◆
東北福祉大   001 052 000|8
 青学大    000 400 100|5

◆出場選手◆
1 二 藤原夏暉 大阪桐蔭
2 遊 山口翔梧 龍谷大平安
3 一 小田康一郎 中京
4 捕 渡部海 智辯和歌山
5 指 南川幸輝 大阪桐蔭
6 三 中山凱 専大松戸
7 右 大神浩郎 福岡大大濠
8 中 中田達也 星稜
9 左 南野倫平 龍谷大平安

P  中西聖輝 智辯和歌山 → 渡辺光羽 金沢学院大附 → 鈴木泰成 東海大菅生


初戦、第2戦をともに完封勝ちで突破した青学大は、準決勝で仙台六大学野球連盟代表・東北福祉大学と対戦した。試合は福祉大に1点を先制されて迎えた3回裏、小田康一郎(史4=中京)が安打と盗塁でチャンスを作ると、相手のミスや大神浩郎(総1=福岡大大濠)の適時三塁打などで一挙4点を奪い、逆転に成功した。しかし青学大は直後の5回表に5点を失い、再び逆転を許す。打線はその後、主将・藤原夏暉(法4=大阪桐蔭)の犠飛で1点を返すも反撃はそこまで。最終スコア5-8で敗れ、史上初の全日本選手権3連覇の夢は準決勝で潰えた。

先発した中西

1回表、先発の中西聖輝(コ4=智辯和歌山)は1死二塁のピンチを迎え右翼への安打を許す。誰もが失点を覚悟したが、右翼手・大神が処理した打球は遊撃手・山口翔梧(営2=龍谷大平安)を経て本塁へ。クロスプレーで走者を刺し、先制を阻止した。その後は三振で3アウト目を奪い、まずまずの立ち上がりを見せた。

1回裏、1死から山口が長打でチャンスを作るも、3番・4番が連続三振に倒れ先制とはならず。

続く2回表、中西は2者連続三振と好投を見せた。裏の攻撃では、中山凱(史1=専大松戸)が右翼に安打を放つも、後続が併殺に倒れ3人で攻撃を終えた。走者は出るが得点にならない、青学大としては不穏な空気が立ち込める。

先制点が欲しい3回表、中西は福祉大の下位打線に連打を浴びピンチを招くと、3番・佐藤に先制適時打を許す。それでも最小失点で切り抜けた中西は、続く4回も無失点で凌いだ。

1点ビハインドで迎えた4回裏、青学大は小田が安打で出塁し、盗塁と相手のミスで三塁に進塁。続く渡部海(コ3=智辯和歌山)の打席で相手バッテリーにミスが起こり、小田が生還。同点とした。さらに南川幸輝(総2=大阪桐蔭)が二塁打でチャンスを広げると、大神が右越適時三塁打を放ち、2点を勝ち越す。その後も相手の守備の乱れによりさらに1点を加え、この回一挙4点で4-1と逆転に成功した。

安打を放つ小田

同点のホームインを決める小田

二塁打を放つ南川

逆転の適時三塁打を放ち、雄叫びを上げる大神

しかし、3点のリードを得た直後の5回、中西が突如崩れる。1死から失策で走者を許すと、2番・髙岡に適時二塁打を打たれ1点を失う。さらに3番・佐藤にも安打を浴び、四球と守備の乱れで満塁のピンチを招く。迎えた4番・垪和に1-1からの3球目を痛打され、右翼前に2点適時打を浴びて同点に。ここで青学大は中西に代わり、2番手・渡辺光羽(営4=金沢学院大附)を投入する。しかし渡辺も流れを断ち切れず、代打・冨田に勝ち越しの2点適時打を浴びる。結局この回5点を失い、再びリードを奪われた。

連打を浴びた中西

ピンチで2番手として登板した渡辺

登板を終えた中西は、「僕自身は絶好調だと感じていたが、福祉大の研究や個々のレベルの差か、決めに行った球を見逃されたりファウルにされたり、甘い球は確実に打たれた。自分のレベルの低さを痛感した登板だった。負けるべくして負けたと強く感じている」と振り返った。

反撃に出たい青学大は5回裏、1番・藤原からの好打順だったが、相手投手・猪俣に三者凡退に抑えられる。

6回表、3番手・鈴木泰成(社3=東海大菅生)が登板。先頭に四球を与え、犠打で走者を進められたが、2死まではこぎつけた。しかし、今日3安打の佐藤に中越2ラン本塁打を浴び、点差は4点に広がった。

7回表、鈴木が無失点に抑えると、裏の攻撃では中田達也(社4=星稜)が右越二塁打で出塁。さらにボークで三塁に進塁すると、藤原の犠飛で1点を返した。

二塁打を放ち、塁上で雄たけびをあげる中田

7回、藤原の犠飛で1点を返した

その後の8回・9回も鈴木は走者を出しながら無失点で抑える好投を見せる。しかし打線は福祉大の堅守を前にチャンスを作れず、両回とも三者凡退に終わり試合終了。スコア5-8で青学大は敗れた。

ロングリリーフをこなした鈴木

野手陣は果敢に打ちにいくも 、終盤は完全に封じ込められた

史上初の全日本選手権三連覇・2年連続の大学四冠を目指した青学大だったが、その夢は準決勝で絶たれた

試合後、安藤寧則監督は「相手よりも劣っていたということ。それだけだと思う。もう一歩踏ん張れれば、という場面だったが、選手たちはよくやった」と試合を振り返った。

また、主将・藤原は今後について「チーム全体の技術レベルを上げて立て直す。点を取られた後、早く追いつく力や、今日は相手の勢いに押された場面もあったので、そこに負けずに技術以外でも上回れるよう、メンタルも鍛えていきたい」と話し、「取り返したいという思いしかない。秋には神宮を取りに行く」と、日本一奪還へのリベンジを誓った。

史上初の全日本選手権三連覇・2年連続大学四冠はならなかった。それは、史上初の語が示すように、過去に類を見なく高い壁だった。しかし、試合後に主将・藤原が報道陣にむけて紡いだ言葉の節々には、その並々ならぬ思いが垣間見えた。次なる目標への戦いは、もう始まっている。

(記事=高木一郎、写真=田原夏野、比留間詩桜、山城瑛亮、高木一郎)

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