【硬式野球】最強世代を力強く支えた青学大戦士たち~4年生インタビュー①門岡駿・熊本凌・樋口舞~

硬式野球

大学三冠の快挙を成し遂げた今年のチームの4年生は、先日の明治神宮野球大会で青山学院大学硬式野球部を引退しました。青山スポーツでは4年生全15名にインタビューを行い、この4年間を振り返っていただきました。最上級生としてチームを牽引してきた選手・スタッフの皆さんの熱い言葉を全10回に渡ってお届します。

初回はチームを裏から献身的に支え続けた学生コーチ・マネージャー編です。


◆門岡駿(法4)

学生コーチを務めた門岡駿

―4年間の大学野球生活を振り返って

「すごく人間として特に成長できた4年間だったなと思います。大学2年生のときに、選手から学生コーチに転向しました。幼い頃からずっと投手として選手でやってきたんですけど、初めて自分がプレーヤーではなく裏方に回って、自分が今までやってきたところの思いを今度は選手の気持ちに寄り添ってやっていくことが最初すごく難しかったです。ただ、そういったところで自分はそっちの方が結果的には戦力になれたなと。人のために努力できるというところですごく成長できたんじゃないかなと思う4年間でした。」

―選手から学生コーチへ転向したときの思い

「最初はちょっと判断が難しかったところはあったんですけど。自分のその時の立場だったりとか、チームの現状だったりとか、自分がチームにとって一番戦力になれることは何かなって考えたときに、人のために何かできることがあるんじゃないかなって思ったので、結果的には一番良かったのかなって思っています。」

―野球部生活の中で、最も印象に残っていること

「寮生活です。自分は高校から寮に入っていたので寮生活が今年で7年目なんですけど、高校の時は夜に点呼があったり、外出できなかったり、携帯なかったりってめちゃめちゃ厳しかった。一方で、大学は点呼もなければ外出に制限があるとかも全く無かった。本当に真逆の生活だったんですけど、そういったところで自分にとっては結構新鮮でした。あと、自分が4年生になったときに3年生の3年間とはちょっと違って、すごく後輩と仲良く、後輩の部屋でずっとみんな過ごしていたりとか、先輩後輩混ざって過ごしていたりとか、野球に繋がっていくような私生活ってところで寮生活がすごく楽しかった1年だなって。4年間で1番楽しかった1年間だったなってところで、寮生活が思い出です。」

―ラストイヤーを振り返って

「春リーグ戦優勝して全日本優勝して日本一になってから、周りの人からの見られ方だったり期待だったりを生活する中ですごく感じるようになっていたので、その分自分たちも頑張らなきゃっていうのもありました。自分たちは特に1年生の時にいきなり2部から1部に昇格できて、4年生になって自分たちの代でいきなりぽんって優勝してっていうのがあったので、本当に良い思いができた1年だったんじゃないかなって思います。」

―学生コーチに転向した経緯

「青学って春と秋のリーグ戦が終わった後に監督コーチと面談があって、3年生だったら進路とか、1,2年生だったら今後どうしていくかみたいな課題の話があるんです。自分は2年生の春か秋かのリーグ戦が終わった後の面談で、監督さんから技術的な話があるかなって思ったらいきなり「学生コーチやってみない?」と打診を受けました。そんな話になると思ってなかったので自分はその時びっくりしたしすぐには決断できなかったんですけど、やっぱり自分の代には常廣(羽也斗・法4)だったり下村(海翔・コ4)だったりすごいピッチャーいましたし、自分も2年生まで練習試合にもあんまり出られていなくてチームの戦力になれていなかったので、自分としては立場を変えて、なにかもっと自分を活かせるような、自分にしかできないようなポジションってあるんじゃないのかなっていうのは思っていたりもしていました。そういうところで打診を受けたときに、素直にじゃないですけど、学生コーチをやってみようかなっていうちょっと挑戦の心があったので、それで決意することができたというのが経緯になります。」

―タレント揃いの世代に在籍して感じたこと

「自分は高校時代も一回もベンチに入れていなくて、指定校推薦で入りました。その中で、やっぱり大学だともっとすごい選手、特に青学は精鋭が集まってるじゃないですか、みんながどんどん1年生から練習試合に出たり結果残している中で、練習は結構まめにやっていたほうだとは思うんですけどなかなか技術がついてこなかったりして。高校時代と変わらず悔しい思いを抱いていたんですけど、学生コーチになってからそういうモヤモヤが晴れたというか、自分が考えてやってきた色々な思いや経験してきたことを今度は学生コーチとして、選手の中でも普段レギュラーで出る人と控えから出る人の両方の思いに寄り添って考えることができたので、自分の選手の経験を学生コーチで活かせたんじゃないかなと思います。」

―寮長としての1年間を振り返って

「去年11月から新チームが始まったんですけど、物が散らかっていたりいらないものが多かったなっていう印象で、もっときれいにできそうだなって。自分が寮長になって、かつ学生コーチとしてなんか変えないといけないなと思ったので、副寮長の秋山(功太郎・営4)と一緒に一気に物を片付けて、水回りからバッて綺麗にして、1回掃除を徹底したっていうのが最初のスタートだったかなと思います。」

―学生コーチ・寮長ならではの苦労したこと

「選手って高校時代から色んな経験があるじゃないですか、自分みたいに出られなくなった選手もいれば逆に出られる選手になったりとか、その中間みたいな選手もいるので、そういう色んな思いを持っている選手のことを考えて寄り添ってっていうのをやっていくのが、最初は結構大変だったかなというのはあります。特に1年生とかは自分が信頼関係をまず築いてからそういう話に持っていかないといけなかったので、最初は結構苦労したというか、頑張ったところだったのかなと思います。」

―学生コーチ・寮長ならではの楽しかったこと

「2つあって、1つは監督とか中野コーチと距離が縮まった。自分は選手の時はあんまり話しかけることがなくて、距離は遠かった方なのかなって思っているんですけど(笑)、必然的に学生コーチになってから距離縮まって、意思疎通が図れたりとかしたんじゃないかなと思います。もう1個は、ピッチャーの時って野手の人とあんまり話さなかったり、どちらかと言えば投手と仲良くなったりするんですけど、学生コーチになってチームを俯瞰的に全体で見るようになってからは、後輩から同期まで全員と仲良くなって寮生活も含めてみんなと楽しく過ごすことができたので、そういったところで学生コーチとしては楽しく、いろんな選手をサポートして一緒に野球ができたんじゃないかなと思っています。」

―今後の進路は

「一般就職です。」

―あなたにとっての青学大野球部とは

「自分はもう感謝しかないですね。就活はほとんど野球部での話をしてましたし、自分が学生コーチになったときに、寄り添ってくれた同級生であったりとか、3,4年生になっても自分から声かけてくれる後輩がいたりとか、率先して一緒に自分のことを支えてくれた後輩とかもいたので、学生コーチを打診してくれた監督にももちろん感謝していますし、周りの選手にも感謝しているかなっていう感じですね。」

―後輩へのメッセージ

「同級生はもちろんなんですけど、後輩とはめちゃめちゃ仲良くて本当に思い入れがあるので、卒業した後もすごく応援しているので、ぜひ四冠目指して、1つずつ優勝して頑張ってほしいなって思います。」

(聞き手・写真=川﨑史緒)

 

◆熊本凌(法4)

マネージャーを務めた熊本(左から2番目)

―4年間の大学野球生活を振り返って

「色んな経験をさせてもらった4年間っていうのもありますし、他の学生とかが経験できないような分野を経験させてもらったりとか仕事を担当させてもらったなと感じます。」

―野球部生活の中で、最も印象に残っていること

「自分の代で春秋のリーグ戦優勝できたっていうことと、全日本選手権で優勝して、今まで入学してからチームの目標だった日本一を実際に達成できて、しかも自分たちの代で成し遂げられたっていうのは1番印象に残るというか、ずっとこれからも記憶には残るんだろうなっていう感じですね。そう思えるのも、それまでの3年間、先輩たちが一生懸命練習してきている中で優勝できなかったっていう悔しい思いがあったから、余計に記憶に残るのかなって思います。」

―ラストイヤーを振り返って

「成長できたなって思うのは、他の人の意見や周りの人の声に耳を傾けるようになったっていうのと、自分自身を客観視できるようになったっていうのはあったと思います。今まで3年間はずっとマネージャーで、1つ上のマネージャーにずっとついていく感じだったんですけど、それが最高学年になって自分たちが中心に先頭を切ってやっていかないといけないというときに、自分がまず何ができないのかを客観視することが今までできてこなかった部分だったので、そういった意味では、1年間で俯瞰する力を身に付けられたのかなと思います。」

―自分のことを客観視できるようになったきっかけ

「きっかけは、自分が学年上がったタイミングでいったん主務になったんですけど、配置転換という形で代わって、先輩のマネージャーがどうやっていたのかっていうのを自分に置き換えて考えられなくて。ただやる仕事やる仕事をこなしていくだけだったんですけど、実際に1つ上の主務をやっていた先輩はどういう取り組み方をしていたのかを自分に置き換えて考えるっていうのはそこでできたので、新チーム始動のときです。」

―マネージャーならではの苦労

「目に見えない、周りからは評価されづらい、評価されない中でも継続するっていうのが自分の中では大変な部分かなって感じました。例えば、選手同士とかだったら「だれだれ練習しているな」とか、みんな同じグラウンドにいて練習している人は信頼とかが上がっていきますけど、マネージャーは基本的に選手にとって何も違和感ないようにするのが仕事でもあるので。逆に違和感を持っていない状態がマネージャーにとっては成果になるので、選手たちもマネージャーが何かをやってくれたっていう実感が湧きづらいのが、マネージャーとして大変な仕事なのかなっていう風に思います。」

―マネージャーならではの楽しかったこと

「楽しかったことは、自分も高校生まで一野球選手としてやっていたので、野球のトップレベルであるプロ野球の関係者の人と関われたりとか、間近で高いレベルの野球を見れたりとか、選手も含めて野球関係の高いレベルの人たちと関われたっていうのは、野球をやってきた身として嬉しい部分というか、やっててよかったなという感じです。」

―選手らと寮生活をする中で感じたこと

「寮生活楽しいなって思いました(笑)。びっくりしたのは、普段勉強とか疎かにしがちな選手だったりとか明るくておちゃらけてる選手とかも、当たり前なのかもしれないですけど野球のことに関してはちゃんと継続していて、野球のことになると真剣に考えて日常生活を送っていたので、そこは意識レベルが高いなって思ったのと、だから良い結果が残せるんだなという風に感じました。」

―今後の進路は

「一般就職です。」

―あなたにとっての青学大野球部とは

「良い伝統、先輩とか偉大なOBとかの考えとか熱い思いとかが伝統として残っていける野球部だなっていう風には感じました。チームの人数が少ない分、1人1人先輩や後輩に対しての思いも大きいですし、後輩からも先輩に対しての優勝してほしいとかもっと一緒に野球やりたいっていう思いが1人1人でかいというかちゃんとあるので、後輩たちが新チームになっていく時も、先輩たちの思いを引き継いでっていう言葉はみんな言っているので、みんなの思いが伝統として残りやすいっていうのが青学野球部の良いところだなっていう風には思います。」

―後輩へのメッセージ

「みんな今の3年生以下は4年生のことをすごく思って長く野球やりたいとか思ってくれたので、そこに関してはずっと一緒にできて楽しかったしありがとうっていうのはありますね。野球部の先輩として自分たちが成し遂げられなかった大学四冠っていうのを達成してほしいですし、良い意味で伝説をこれから残していってほしいなって思います。」

(聞き手=川﨑史緒、写真=遠藤匠真)

 

◆樋口舞(コ4)

マネージャーを務めた樋口(右)

―4年間の大学野球生活を振り返って

「私は2年生から入ったので3年間で、選手たちより1年間少なく、マネージャーとしても2年生から入るって結構異例なことだったので、1年間ブランクがある中でどうやって自分が選手の支えになれるかなっていうのは心配でした。高校からマネージャーをやっていたこともあって、中学ではソフトボールでプレーもしていましたし、野球のことは少しは選手としても分かる部分はあるかなと思っていましたし、高校でのマネージャー経験も少しは活かせることはあったかなと思います。社会勉強にもなりましたし、チームとしてもここまでできたのは1番は選手のおかげですけど、自分も少しは支えられていたらなって思います。選手たちから「支えられてたよ」って思ってもらえればそれで充分です。」

―野球部での生活の中で、最も印象に残っていること

「3年生の最後の時、1個上の先輩たちが引退した直後に自分が上級生になって軽く後輩たちをまとめているときに、監督から「お姉さんらしくないね」って言われたことがあるんですよ。それが今も覚えているくらいすっごい悔しくて(笑)。昆(加奈子・地4)と2人でそれを言われたんですけど、どうやったら4年生みたいになれるのか、2個上の先輩と1個上の先輩と比べても全然お姉さんらしくないというか、先輩らしくない部分が最初は監督たちにすごく見えていたらしいんですけど。だんだん昆が主務になったりとか色々あって3人でどうにか上手く回していくうちに、監督と中野コーチと四之宮コーチから「本当に成長したな」ってお褒めの言葉をいただいて。自分が成長したって思っても周りから思われなければだめだなって思うので、周りからそう言っていただけたのが一番印象深いというか嬉しかったことです。」

―ラストイヤーを振り返って

「リーグ優勝と全日本優勝して、秋も神宮大会に出て。出たこともない大会に出て、大会の環境や雰囲気も違いますし、全国大会に出て優勝したりとかして、どんどんネット記事とか新聞とかも出るようになって、もちろんプロの3人も含めて注目度が上がって。そういうのが見られるようになったっていうのはやっぱり自分たちの中でもちゃんと見てくれてる人がいるんだなっていうのもあります。秋の神宮大会も結構期待された方だとは思うんですけど、選手以上にプレッシャーを感じる人はいないと思いますけど、私たち自身もハラハラドキドキしながら試合のほう見ていたので、そういう意味では良いプレッシャーだったりとか重圧もあって、そういうところでも成長できたかな、メンタル的にも成長できたかなって思います。」

―マネージャー生活の中で楽しかったこと

「リーグ戦ですかね。リーグ戦で選手たちがプレーしている姿を見るのが私は好きなので。高校は弱小校だったので、本気ではあるんですけど練習もなあなあだし公式戦でも勝てないしみたいな、そういう環境にずっといたので、練習から、ノックから全く違うのを見たときに「本気なんだな」って(笑)。そりゃそうなんですけど「本気なんだなこの人たちは」って思って、それがリーグ戦で結果として繋がるっていう過程が楽しくて。マネージャーとしてオープン戦組んだりとかいろいろして、ちゃんとチームに貢献できてる達成感というか嬉しさもありましたし、選手たちが1番楽しんでいる姿を見るのが楽しいです。」

―今後の進路は

「一般就職です。」

―あなたにとっての青学大野球部とは

「大学生活そのものです。それ以外に就活とかで話すことがなかったくらい野球部に時間を費やしていたし、これがあったからこそ次のステージに進めるというか。ここに入っていなかったら大学で何していたんだろうっていうくらい、この野球部に入って仕事して色んな経験積んできたっていうのはすごく大きなことだなと思うし、同期の15人だけじゃなくて先輩後輩と色々やってきたっていうのは、1番青春していたんじゃないかなって思います。」

―後輩へのメッセージ

「今年すごく良い結果を残して三冠までたどり着いたので、後輩たちにもその実力はあると思うので、これまで通りやっていれば大丈夫だと思います。頑張ってください。」

(聞き手=川﨑史緒、写真=遠藤匠真・青山学院大学硬式野球部提供)

コメント

タイトルとURLをコピーしました