【陸上競技】悔しさにじませ来年への再起誓う

陸上競技

第97回東京箱根間往復大学駅伝競走報告会 1月3日 於・青山学院大学青山キャンパス ガウチャー記念礼拝堂

 1月3日、日も傾きかけた冬の夕暮れ時、青山学院大学でレースを終えたばかりの選手、監督による報告会が行われた。原監督、神林主将、そして217.7㌖に及ぶ箱根路を駆け抜けた10人の選手たちが登壇し、それぞれコメントを述べた。

左から神林主将、選手たち(1区から)と原監督

原監督

「97回箱根駅伝の報告をさせていただきます。往路は、想定の中の1番悪い12位という形で終えました。芦ノ湖から宿舎に行って、その日はですね、スタッフなど暗い顔をしていました。これは2年前の95回大会、『優勝間違いない』と言われた時と同じ光景でした。その日の光景と同じくして、学生が『復路頑張ります』と。『復路優勝目指します』と。力強い後押しがあり、私自身も最後まで何が起こるか分からない、復路優勝だけでもしたいという思いのスイッチが入ったわけです。先程も伊藤先生がおっしゃられたように、絆。悪い時も良い時もですね、繋ぎ合わせて、青山学院の力。そう思うんですね。チーム全員がですね、同じ食事をとり、同じ宿で寝、同じ時間で練習するというような、当たり前のことを当たり前のようにですね、やらせていただきました。また当たり前のようにですね、ここ最近は総合優勝をさせていただきました。しかし今回、登録からですね、エースの岸本が故障で16人に入れず、また直前に、エースの神林が離脱するというような流れとなり、往路は12位という結果になったんですね。でもそこをしつこく絆の一枚岩を持ってしてですね、やはり絆は切れていなかったんだと復路のメンバーが精一杯努力してくれて、復路優勝を勝ち取り、12位から8位(順位を押し上げる)というような形になりました。16年間このチームを見守り続け、この位置では我々はダメなんだと、要は12位からのスタート、この位置は我々の位置じゃないんだと、11.10.9と上がっていく中でもですね、この位置じゃないんだと、そういう思いがですね、監督車の中から私は感じとることができました。また来年、素晴らしい一年生が入学します。そして今回走れなかった優秀なランナーも数多くいます。来年はこの場で、笑顔、最高の笑顔、それを皆さま方の前でお届けすることを誓いましてですね、監督からの挨拶に代えさせていただきます。そして最後に、選ばれなかった4年生、また直前に出場が叶わなかった神林。4年間やったことは、この寮で活動してことは、決して無駄な4年間ではなかったと。そう思える日が間違いなく将来来ます。4年間頑張ったことがですね、サラリーマン生活で、間違いなく力になってくると思うので、正選手に選ばれたもの選ばれなかったものおりますけれども、堂々と社会にですね、歩き進めていただければと思います。2日間にわたり、ありがとうございました。」

 1区 𠮷田圭太(地4)

「1区を走りました、地球社会共生学部地球社会共生学科の4年の吉田圭太です。まずは、朝早くから2日間、応援、サポート、本当にありがとうございました。今年、僕自身は2年連続1区ということで、昨年よりかは緊張せずに自信をもってスタートラインに立つことができました。レース展開としましては、今まで陸上を始めてからは経験したことのないスローペースから始まり、ペースの上げ下げや、他大学からのプレッシャーやマーク、すごく感じたんですけど、過去2年3年と箱根駅伝走らせてもらいましたけど、1番楽しく走ることができたかなと思っています。往路が終わってから、自分自身もっと攻めるべきだったかなとか、どうすればよかったんだろうなとか、すごく考えたりもしたんですけど、復路のメンバーが盛り返してくれて、4位という形でゴールしてくれたことは本当に嬉しく思います。また、本当にこの4年間チームに支えられて成長できたなと思っているので、これから僕は住友電工の方に就職して競技も続けさせていただくので、青山学院大学のOBとして恥ずかしくないように、結果を残して、更にレベルアップしていけるように頑張りたいなと思っています。本日は応援ありがとうございました。」

2区 中村唯翔 (総2)

「2区を走りました、総合文化政策学部、総合文化政策学科2年の中村唯翔です。今回の箱根駅伝、2年生にして出場することができました。結果としては総合4位ということで、目標としていた総合優勝はできなかったんですけど、復路の強いメンバー5人が12から4位にあげてくれたことには本当に感謝しています。個人の走りとしては、1区で圭太さんが本当に先頭を追いやすい良い位置でもってきてくれたのにも関わらず、しっかりその集団についていくことができずに、他大のエースたちとの差がこんなにもあるんだとこの駅伝を通して知ることができました。また来年以降は必ず優勝するっていうのを目標にして、また1年間練習を積んでいきたいと思います。今回は2日間応援ありがとうございました。」

3区 湯原慶吾 (史3)

「3区を走りました、文学部史学科3年の湯原慶吾です。個人の走りとしては、目標としては4区の一世に良い流れができるように、先頭が見える位置で自分が粘って渡すことができればというふうには考えてはいたんですけど、結果としては、先頭とは大きく離されてしまったり、また、順位としても上げることができずに、本当に悔しいレースとなってしまいました。しかし、復路のメンバーが良い流れを作ってくれていて、結果としては総合4位まであげてくれて、本当に自分としては総合4位ということではあるんですけど、来年に繋がる良い箱根駅伝になったのではないかと思いました。また、自分は最上級生となるので、一からまた練習をしっかり見直して、来年は、来年こそはチームの優勝に貢献できるような走りをしたいと思っています。今回は応援ありがとうございました。」

4区 佐藤一世 (総1)

「4区を走りました、総合文化政策学部総合文化政策学科1年の佐藤一世です。今回自分の走りを振り返ってみて、結構、想定外の位置でもらった襷ですが、本当に区間賞をとるという気持ちで走っていたので、区間4位という結果には悔しいと思う反面、単独走で15キロ走ったという収穫もあったので良かったかなと思います。今回初めて箱根駅伝を走らせていただいて、本当に何が起こるか分からないという特別な大会だということが実感できましたし、この経験を生かして個人では区間賞、チームでは総合優勝するために1年間頑張っていきたいと思います。応援ありがとうございました。」

5区 竹石尚人 (総4)

「5区を走りました、総合文化政策学部総合文化政策学科の竹石尚人です。まずは2日間早朝から応援の方ありがとうございました。個人として、一世が流れを引き戻した、襷を自分の区間で流れを消してしまうような走りをしてしまい、チームを優勝から大きく遠ざけてしまったこと、本当に悔しいです。自分自身、この1年間チームに残って、監督、そして主務の鶴貝、チームメイトに気をつかわせてしまう部分だったり、迷惑をかけることがあったんですけど、こうしてスタートラインに立てたということは、それだけ充実した時間を過ごすことができたのはチームメイトのおかげですし、最後まで指導してくれた監督や、家族チームメイトに恩返しができなかったのが本当に悔しいです。これから社会に出る中でどんなに過程が充実していても、しっかり結果を残せないとやはり最終的にはだめだろうなと、自分も改めてこの箱根駅伝を通じて気付かされたので、社会人ではこうした自分の弱さというのを克服して、社会、次のステージで頑張っていけるようにしたいと思います。本当に、この競技人生を支えてくれたチームと、応援してくれたみなさんに感謝をしています。応援の方ありがとうございました。」

6区 髙橋勇輝 (国経3)

「6区を走りました、国際政治経済学部国際経済学科3年の髙橋勇輝です。今回の箱根駅伝は往路のみんなが非常に頑張ってくれたので、自分はしっかり流れをつくろうと思って走りました。結果としては、区間3位ということで、最低限の流れは作れたのではないかと思います。また、復路優勝もできたのでよかったです。しかし、優勝という目標を掲げての4位だったので、悔しさがより強いので、来年は自分自身が最上級生となるので、今の4年生のような姿で後輩たちを引っ張っていき、良い報告がで着るように頑張っていきます。今回は2日間ありがとうございました。」

7区 近藤幸太郎 (営2)

「7区を走りました、経営学部経営学科2年の近藤幸太郎です。まずはこのチームで戦えたことが僕にとって本当に嬉しいですし、このチームだったからこそ、僕は本当に成長できたのかなと思います。優勝することが理想だったとは思うんですけど、このチームメイトと、4年生と戦えたっていうことが本当に光栄です。来年また総合優勝するっていうことが4年生に対して、また竹石さんに対しての恩返しだと思うので、また1年間仕切り直して頑張っていきたいと思います。2日間応援ありがとうございました。」

8区 岩見秀哉 (教4)

「8区を走りました、教育人間科学部教育人間学科4年の岩見秀哉です。7区の区間までの選手が全力を尽くしてくれていたので、自分も最後4年生らしい、最後までやりきろうと思って走ることができました。4年間色々なことを経験してきたんですけど、本当にチームメイトに恵まれたおかげで、さいご復路優勝することができましたし、全員が全力を尽くしての4位だったので、本当にやり切ったと思います。後輩たちは、また来年、再来年などもチャンスがあるので、そこで総合優勝して、来年の今日だったり、再来年の今日笑ってほしいと思います。自分自身も来年以降まだ競技をつづけるので、大学でやってきたことを生かしながら、大学以上の成長をしていければと思います。2日間応援ありがとうございました。」

9区 飯田貴之 (総3)

「9区を走りました、総合文化政策学部総合文化政策学科3年の飯田貴之です。往路が予想外の展開で終わった中で、復路という形でしたが、復路メンバーではしっかり復路優勝をして、青学の強さをみせようという話をしていたので、まずは今日復路優勝は達成することができてそこは良かったと思います。個人の走りとしては、今年も区間賞は取れず、区間2位で、区間賞とも1分以上離されているので、本当に完敗という感じでしたし、東海の長田にずっとつけられている中、早い段階で引き離すことができなかった部分で、やっぱり前の年走られた神林さんや、その前の圭太さんとかエース格の選手とは違うんだなという風に今日のレースでは思いました。結果として4位というのは総合優勝には届かなかったんですけど、終わった後にSNSとかで感動したということだったり、駅伝はやっぱり面白いと言ってくれる人たちがいて、もちろん本心としては優勝したかったという気持ちはありますけど、すごい充実したこの2日間だったなという風に思いました。今年、本当に4年生とは最後笑顔で、笑って終わりたかったんですけど、コロナ禍の中で本当に今まで以上に密のあるコミュニケーションというか、本当にいる時間も一緒で長くて、4月新チーム始まってから4年生の競技に対する姿勢っていう部分ですごい感じるものが多かったので、4年生から感じたそういった部分を来年に生かして、来年もう一度王者として返り咲きできるように、その一員としてしっかり頑張っていきたいと思います。応援ありがとうございました。」

10区 中倉啓敦 (社2)

「10区を走りました、社会情報学部社会情報学科2年の中倉啓敦です。自分は今回初出走ということで、非常に濃い経験をさせていただくことができました。レース前は非常に緊張していたんですが、9区の飯田さんが競り合っていた大学と差を開いてきてくださったので、自分はしっかり自分の走りに集中することができたと思います。後半、前の東洋大学に追いついたんですけど、結局そこで最後競り負けてしまい、自分の力不足というのを痛感しました。この悔しさというのを今後の競技生活にしっかり心に刻んで取り組んでいきたいと思います。2日間応援ありがとうございました。」

神林主将(地4)

「ずっと一年間優勝の方を目指して取り組んできた結果が今日の結果です。直前に自分自身の疲労骨折、それによって走る選手みんなが動揺することになってしまったのかなと思います。やはり、それが今回のできなかった一番の大きな原因だと思いますし、それに対してはチームみんなにすごく申し訳ないなと思っています。ただ、往路の選手が苦しい中、(復路の)5人がほんとに頑張ってくれてその結果復路優勝、総合4位ということでこれは本当に素晴らしい結果でありますし10人全員が胸を張ってほしいなと思います。決して10人だけでなく、16人またメンバーに入れなかった部員、そして女子マネージャーを含むマネージャー、スタッフ、その全員が胸を張ってほしいなと思います。私自身がどういうキャプテンを務めたらいいのか当初はずっと考えておりましたけどなかなか自分が思い描いたようなことは一年間できておらず、最後の最後で何ができたんだろうとずっと考えておりましたけど、こうやって全員が走る姿を見て、何を残すことが出来たかは分かりませんけども、あぁいつの間にこんなチームに成長してくれたんだろうとすごく感じることが出来た2日間でした。みんなの頑張る姿を見てこのチームのキャプテンをやらせていただけてよかったとすごく感じております。優勝することはできませんでしたけれどもこうやって4年生になってこういう立場で優勝できない時にはやはり下級生には同じ思いをしてほしくない、そういう想いも強くありますのでこの今年経験したことは必ずこの経験はまた青山学院を強くしていくと思います。だからこそ来年以降必ず優勝してほしいと思いますし、卒業してからもOBとして精いっぱい応援していきたいと思います。今年こういう状況下の中、寮で学生が生活するということでまず、監督だったり奥さんだったりには非常に感謝しておりますし、そこにお子様を預けてくださった保護者の皆様にも本当に本当に感謝しています。それがあったからこそ、この結果があると思っております。またこの一年間協力くださいました関係者の皆様もそうですし、何よりチームメイトそしてそれを支えてくださったスタッフの皆様全員を含めて本当に感謝してもしきれないほど感謝をしております。本当にこの一年間ありがとうございました。また青山学院は強くなってまた来年以降も応援の方を是非よろしくお願いいたします。本当にこの二日間ありがとうございました。」

応援団とチアリーディング部、バトントワリング部によるカレッジソングのパフォーマンス
集合写真

コロナ禍で厳戒態勢をしいた中での開催、また大会直前にチームの大黒柱である神林主将の離脱、昨年のスーパールーキー岸本の欠場という状況の中でチーム自身も少なからず不安を抱えながら迎えた今年の箱根駅伝。往路はまさかの12位というシード圏外に沈むも、復路では圧巻の底力を見せけ、死力の粘りと硬い絆で見事復路優勝を成し遂げ、総合順位を4位まで押し上げた。

まさに今大会で示したのは“沈んだ後の青学大は強い”。誰もが箱根駅伝総合5連覇を期待した95回大会。惜しくも連覇を逃し“悔しさ”を味わった。しかし、その悔しさをバネにして迎えた昨年度96回大会。その反発力はまさに青学大の底力を見せつけるものであった。原監督は今大会を「次につながる良い負け方」と評するも、“絆大作戦”においては大成功と語った。

どの大学が優勝するのか皆目見当もつかない今日の駅伝戦国時代。青学大は今大会で得た悔しさから臥薪嘗胆し、来年度いかにして活火激発するのか今から楽しみでならない。

(記事・写真=鈴木美衣)

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