第101回東京箱根間往復大学駅伝競走 1月2日、3日 於・大手町〜箱根
◆結果◆
総合優勝 2年連続8度目 10時間41分19秒 総合新記録
◆出場選手◆
往路 優勝 5時間20分01秒
1区 宇田川瞬矢 東農大三 1時間02分51秒 区間10位
2区 黒田朝日 玉野光南 1時間05分44秒 区間3位 区間新記録 日本人歴代2位
3区 鶴川正也 九州学院 1時間01分51秒 区間4位
4区 太田蒼生 大牟田 1時間00分24秒 区間賞☆ 日本人歴代1位
5区 若林宏樹 洛南 1時間09分11秒 区間賞☆ 区間新記録
復路 2位 5時間21分18秒 復路新記録
6区 野村昭夢 鹿児島城西 56分47秒 区間賞☆ 区間新記録
7区 白石光星 東北 1時間03分10秒 区間9位
8区 塩出翔太 世羅 1時間04分14秒 区間賞☆ 区間歴代6位
9区 田中悠登 敦賀気比 1時間08分40秒 区間2位
10区 小河原陽琉 八千代松陰 1時間08分27秒 区間賞☆ 区間歴代2位
ここまでの出雲駅伝、全日本駅伝いずれも3位という結果に終わり、迎えた箱根駅伝。往路では最終5区で逆転し往路優勝を成し遂げ、翌日の復路では1度も首位の座を明け渡すことなくトップでフィニッシュ。見事2年連続8度目の総合優勝を果たした。今回は箱根駅伝を走った優勝直後の選手たち10名にインタビューを行った。またそれ以外にも黒田然(地1)、片山宗哉(社4)、徳丸涼大マネージャー(教4)、女子マネージャー(今回話を伺ったのは一ノ口真鈴(コ4)・竹内明日香(物3)・平野帆ノ佳(コ2))の方々にもインタビューを行った。箱根駅伝を走る選手と共に切磋琢磨してきた片山や黒田、マネージャーだからこそ語ることができるエピソードも含め、Xに載せきれなかったインタビューの全容をお楽しみいただきたい。
【原晋監督】
ー優勝の感想
「11年間で8度の優勝です。この2日間が年に一度私と学生が200%かっこよく見える瞬間です!」
ー優勝を確信した瞬間は?
「9区から10区への襷渡しですね。2分差に離れたのでこれは勝てるなと思いましたね」
ー10区当日変更の理由
「夏合宿の練習消化率、5000m、1万m、ハーフマラソンの持ちタイム、そして12月の強化合宿の練習の仕上がり具合、直近の体調を考慮して安島莉玖(社1)、小河原陽琉(総1)、佐藤愛斗(コ1)の3名の中から選びました」
ー優勝直後の胴上げの感想
「何度あげられても嬉しい。8回上げられたが6、7、8回目はあまり上がってなかったですね(笑)。もうちょっと体を絞って臨んでいきたいですね(笑)」
【1区 宇田川瞬矢(総3)】
―1区を走ることはいつから決まっていたか
「メンバー16人が決まってその後くらいですかね。1区になるかもしれないということは言われていました」
―1区を走るにあたってどの大学をマークするなど作戦はあったか
「監督とは、多分中央大・吉居が前に出るからもう國學院大と駒澤大だけをマークしろとは言われていました」
―今年走ってみて、1区と前回出走の10区どちらが好みか
「いや断然10区ですね(笑)10区走ると、まあなんか…俺がやってやった感めっちゃ出るんですよ(笑)めっちゃいいです」
―来年はズバリ何区を走りたいか
「3区ですかね。10区も走りたいんですけど、また10区に出戻りするのもダサいかなと思って(笑)鶴川さんが同じ学部で、リベンジしてほしいと言われたのでそのリベンジを頑張ってしたいです」
【2区 黒田朝日(地3)】
―2区はいつから決まっていたか
「分からないですね(笑)」
―緊張する場面は?
「特にないです」
【3区 鶴川正也(総3)】
―四年間で初出走ということで素直な気持ちは?
「過去の苦しい思い出とか全て消し去るくらい最高に嬉しいです」
―走っているときはどんなこと考えていたか
「走っている時は、箱根駅伝って本当にすごいなぁって、こんな感じなんだなあっていう(笑)。沿道の声援とか監督の声かけとか雰囲気でそれをすごく感じて、きつかったけど最高の時間でした。箱根駅伝は(出雲駅伝や全日本駅伝と比べて)別格でした」
―今後の目標について
「今後の目標は来年の東京世界陸上に出場することと5000m日本記録と、5000mで日本人初の12分台を出すことです!」
【4区 太田蒼生(コ4)】
―4年間で一番の思い出は?
「箱根駅伝です。毎年思い出には残っています」
―4年間のうち一番思い出に残っている箱根駅伝は?
「やっぱり一番新しい今大会。総合優勝できたことはすごくうれしいです。特に、僕の代で優勝できたということがすごくうれしい」
―ライバルはいるか
「いないです(笑)」
―國學院大・平林が出したマラソンの記録についてどう思うか
「おめでたい。すごいなって感じです。6分前半という記録は最初から越すつもりです(笑)」
―今後の目標について
「陸上の最終目標であるオリンピックのマラソンで優勝することです」
【5区 若林宏樹(地4)】
―最後の箱根駅伝を終えての感想
「目標としていた記録を出すことができました。非常に満足していますし最高の気持ちです」
―山を走っていて好きな景色は?
「15キロくらい過ぎに山が終わり、林の景色から空が広がるところ綺麗で好きです」
―山登りの秘訣とは?
「パワーとメンタルです。両方を4年間でどう作りあげていくかが大事ですね」
【6区 野村昭夢(史4)】
―56分台を出せるという自信は何%あったか
「50%ぐらいです」
―前日に目標タイムのストーリーをあげていたが、緊張や不安はなかったか
「いや、ないです。調子良かったのでいけると思っていました」
―自分の走りを振り返っての感想
「100点です!」
―全力で山を下って現在ダメージはあるか
「左足がやばいです。マメが」
【7区 白石光星(地4)】
―7区のレース全体を振り返っての感想
「本当に最初で最後の箱根駅伝ということで想いが先行してしまい、オーバーペースで入ってしまって、苦しい展開になってしまったんですけど、後半は3分ペースでメンバーのことを思い出しながら、首位だけは守ろうという気持ちでした」
―駒澤大・佐藤が猛追してきたことをどのように思っていたか
「圭汰君がついてきているというのは知っていたので、もうちょっと差を広げたかったなとは正直思いました。我慢のレースで、そうですね、圭汰君にはトラウマを植え付けられたなというのが正直な感想です」
【8区 塩出翔太(教3)】
―走っている時はどんなことを思っていたか
「走っている時は、全日本のとこもありましたし、チームにどう貢献するか考えて、自分は後続を離すことを意識して走っていました」
―区間新記録は狙っていたか
「区間新は狙っていて、その中でいかに自分と勝負できるかだったんですけど、なかなか向かい風のレースでキツかったのですが、最低限のことはできたかなと」
―キツいと感じた瞬間は?
「遊行寺の坂を上っている時で、何度もやめたいと思ったが、同期の佐藤有一(史3)や荒巻朋熙(コ3)が大声で応援してくれて、もう一度頑張ろうと思えました」
―来季はどこを走りたいか
「往路を走ってみたいのですが、監督が選んだ区間を全力で走り抜きたいです」
【9区 田中悠登(営4)】
―去年ケガで走れず、今年も痛みとの戦いだった中で今回いい走りができてどうだったか
「本当に今日スタートラインに立つまでに同期後輩含めトレーナー陣、たくさんの人が支えてくれて本当に今日ここに立てたのでみんなに感謝したいです」
―駒澤が迫ってきている中の襷渡しでプレッシャーはあったか
「追われているなという感じはあったが、でもここで最後のキャプテンの仕事として優勝を決めるような走りがしたいなということで必死に後続を離せたかなと思います」
―春からアナウンサーで今回の箱根駅伝がラストランとなったが悔いはないか
「ないです!やれること全部やってキャプテンとしての仕事もやることは全部やったので、思い残すことなくまた4月から新たなステージで頑張りたいと思います」
【小河原陽琉(総1)】
―今回の記録についての感想
「そうですね。走る時にタイムは本当に意識していなくて、後ろとの差だけを広げようと思って走っていたので、あとから区間賞と歴代記録を知ってうれしいなぁ、ラッキーみたいな感じです(笑)」
―今回は10区を走ったが、次回走りたい区間はあるか
「自分は4区を走りたいと思っています。高校の先輩の佐藤一世さんが同じ区間で区間賞をとっているからです。一世さんに憧れているので、自分も同じ4区で区間賞を獲りたいなと思っています!」
―青学大の中で今後ライバルになりそうな選手はいるか
「(近くにいた佐藤選手を指して)佐藤愛斗です(笑)」
―今回当日変更でメンバー入りしたが、それはいつ決まったか?
「前日です」
―来季の目標
「自分はインカレでは1500mをイメージしているので、今年と同じように、去年は悔しい思いをしたので、しっかり勝って表彰台に行きたいと思っています。できれば宇田川さんにも勝ちたいなと思っています…!」
選手たちが手にした栄光。その影には、マネージャーや控え選手、全ての部員たちの支えがある。見えない場所で環境を整え、士気を高め、努力を積み重ねた仲間たち。
そんな仲間たちからも話を聞くことができた。
【黒田然(地1)】
―兄弟が強いのは遺伝か
「遺伝です!父が陸上強いのはもちろん母も運動神経がいいので、はい。遺伝ですね(笑)」
―黒田朝日選手の家と寮の中の違いは?
「家の中の方が大人しい。ずっとマイペースで自分の空間を作っている」
―自身の今後の目標
「僕が箱根を走って優勝させたい!区間は2、5、8区のどれかですかね、でもまあちょっと2区は朝日がいるので(笑)」
【片山宗哉(社4)】
ー9区で話題になっているあの乾杯は田中選手からの要望?
「いやー、なんか話題になっちゃって、時の人ですみません!(笑)ありがとうございます(笑)流れを言うと…頼まれていたこととしては笑わしてくれ。まああるあるですよね。笑わすって難しいじゃないですか。50mの中でって思った時に、一晩考えて僕が飲んだら面白いなと思って、朝ちょっと電話して、『ちょっと俺給水飲んでいい?』って言ったら『いいよ一緒に爪痕残そうや』と乾杯しようってなっていう感じですね」
ー個人的MVPは?
「野村昭夢さんですかね。王道かもしれないですけど、4年間一緒にやってきて、1、2年目とずっとケガで、最後花開くこの同期を見てこれたのは、逆に僕ら同期だけ。もう本当に感動しちゃってMVPあげたいです」
ー箱根駅伝での給水はどうでしたか。
「僕自身、1、2、3年目とチームが勝っても、なかなか自分ごとのように考えれられなくて、正直なところ羨ましいなとか妬ましいなみたいなところが本音ではありました。それでも初めて4年目で自分の同期が6人も走って、ああいうところを見た時に、青学選んでよかったなとか、いい同期に恵まれたなっていうのを心から思えて、逆に報われた瞬間だったのが、この最後の箱根駅伝だったなっていうのが素直な気持ちかなと思います」
ー1500㍍でも活躍されていましたね。
「そんなこと言われちゃってなんかもう嬉しいです。ありがとうございます」
_妹さんも強いですよね。心菜さん。(短距離ブロックとして活躍している)
「ぜひ次は妹のこともよろしくお願いします!」
【徳丸涼大(教4)】
ー今回の箱根駅伝を終えての感想
「まずは優勝できて嬉しかったとか、感動したとかよりも、ほっとした事が一番大きいです」
ー個人的にMVPは?
「野村かな。4年間一緒にやってきて、最初の2年で、野村はケガばっかで一緒に苦しんだ中で、3年目4年目としっかり躍進してくれたのが本当に嬉しかったし、個人的MVPにさせてあげたいと思います」
ー片桐主務だけではく徳丸マネージャーも今回は監督車に乗っていましたね。
「基本主務が乗るのですが、片桐が塩出の付き添いになり、自分も6区の付き添いと、片山が給水したところもやる予定で。監督から『お前乗れ』って言われて。1位で、先頭の景色を一緒に見ることができて、結果的には乗って良かったなって感動しました」
ー乗っている中で原監督から優勝に対するコメントはあったか。
「ああ!6区の時点では、『勝ちましたねー(監督と握手するそぶりを見せる)』、7区で『胃が痛いなー』で9区終わりぐらいまで、『胃が痛いなー(苦笑)』10区途中からは『いけるか』と」
ー選手としてもマネージャーとしても活動した4年間を通して
「自分としては箱根駅伝を走るという夢があって、自分では達成できなかったんですけど、今日こうやって運営管理車で先頭の景色を見ることができて、本当に感動をもらいましたし、この最高の仲間に出会えただけでも、この部に入ってよかったなって思いました」
【女子マネージャー(左から平野(コ2)、一ノ口(コ4)、竹内(物3)】
ー箱根を終えての感想
平野「出雲全日本で結構期待していた中で悔しい結果だったので、ここでやっと花咲かせられて、チームとしても嬉しくて、みんなの笑顔を大手町で見れたことがよかったです」
ー個人的MVPは?
竹内「若林さんです。5区で逆転したのが決め手で、優勝を勢いづけた走りだったなと印象に残っています」
平野「小河原です。1年生で初出走が箱根駅伝で、しかもアンカーという。まだ結果が決まっていないところでプレッシャーもあったと思うけど、それでも個人的にもいい結果でチームとしても記録更新して、よく頑張ったなって思います」
一ノ口「田中です。今年一年キャプテンとして引っ張ってくれて、みんなで大手町で笑おうっていうテーマを体現した走りをしていたと思います」
給水で仲間からの力水を受け取る選手の写真も掲載いたします!!
他大学に競り勝ち、見事大手町で笑うことができた青学大。4年間で3度箱根駅伝総合優勝を経験した強力な4年生たちが卒業してしまうが、花の2区で日本人歴代2位の走りを見せた黒田を筆頭に箱根駅伝経験者が5名も残る。彼らの経験を他の部員たちに還元し、3連覇を見据える青学大陸上部の今後に期待だ。
(記事=小松優奈・久保颯一朗・成田紗耶加、写真=小松優奈・久保颯一朗・成田紗耶加・吉行晴実・五十嵐美玖・藤本紘輝・遠藤匠真・竹田集・近藤百珈)
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