【硬式野球】常廣8回2/3自責点0の力投も中大に競り負け…優勝へ向け黄色信号

硬式野球
抜群の球威と安定感を誇る常廣

東都大学野球 秋季1部リーグ 対中大 第2回戦 10月11日 於・明治神宮野球場

◆結果◆
中 大 020 000 000 2|4
青学大 000 000 200 0
|2

出場選手
1 二 藤原夏暉 大阪桐蔭
2 右 山中稜真 木更津総合
3 中 中島大輔 龍谷大平安
4 三 佐々木泰 県岐阜商業
5 指 松本龍哉 盛岡大附→冨樫智也 関東第一
6 一 片山昂星 東海大菅生
7 左 山本英錬 今治西→小田康一郎 中京
8 遊 手塚悠 常総学院→初谷健心 関東第一
9 捕 佐藤英雄 日大三→小鷹葵 中越

P  下村海翔 九州国際大付→常廣羽也斗 大分舞鶴


関東地方は逐日気温も落ち着き、気持ちいい秋晴れの中で始まった秋季リーグ対中大第2戦。0勝1敗で迎えた青学大は自力優勝の可能性を残すためにも絶対に勝っておきたい一戦であったが、またも打線は好投手・西舘に苦しめられる展開となった。

青学大の先発は今季4試合目の先発となった下村。今年3年生の右腕はこれまで先発した3試合全てで好投。相手が西舘ということもあり、強力な中大打線のシャットアウトが期待された。しかし、ドラフト候補2人を擁する中大打線の攻略は決して容易ではなかった。

今季4試合目の先発を務めた下村。まさかの降板だった

下村は初回こそランナーを2人出した状態から無失点で切り抜けるが、2回は完全に相手打線につかまってしまう。2連打で先制点を献上すると、その後も相手打線の勢いを止められない。合計4連打を浴び2失点、なおも1死1,2塁の状況で無念の降板となってしまう。

連打で先制を許してしまう

悔しい降板となった下村の後を任されたのは、こちらも最速150km/h超えの3年生右腕・常廣。これ以上の失点は避けたい場面での救援だったが、自身最速を更新する153km/hの直球を計測するなど圧倒的な球威で相手打線をねじ伏せた。

抜群の球威と安定感を誇る常廣

ピンチを切り抜けた後の攻撃でなんとか反撃に出たい青学大。しかし東都最高峰の投手である西舘の攻略は容易ではない。3回裏に山本がチーム初ヒットで出塁し、盗塁も決めチャンスを演出するもあと一本が出ず。西舘・常廣という150km/h超えストレートを連発するプロ顔負けの投げ合いだっただけに、互いに次の一点が遠い状態で試合は終盤まで進んだ。

再び試合が動いたのは7回裏、青学大の攻撃。7回表に遊撃手・初谷がセンターに抜けそうな当たりをスーパーキャッチしてアウトをもぎ取った直後だった。ルーキーのファインプレーに盛り上がった青学大ナインはイケイケムードで7回裏の攻撃に突入。まさに野球とは流れのスポーツであることを再認識させるように、2番山中が四球で出塁し3番中島も相手がバント処理を誤り出塁、チャンスメイクに成功する。無死1,2塁の場面で打席には4番・佐々木。

先日受けた頭部死球の影響をものともせず戦線に復帰した主砲に対し「全員野球」を掲げる安藤監督は迷わずバントを指示。佐々木も指示に応え、見事バントを成功させ1死2,3塁の状況を作る。後続はルーキーながらクリンナップに座った5番・松本。ここぞの一打でまずは1点を返したい場面だったが、西舘が力みからかまさかの暴投。その隙に3塁走者山中がホームインし、ついに西舘の壁を突き破ることに成功した。なおも1死三塁の場面で松本がレフトへの犠牲フライを放ち、試合を振り出しに戻すことに成功した。

4番・佐々木の送りバント。キッチリと決め同点を演出した

同点の犠牲フライを放った松本。ルーキーの活躍が目覚ましい

同点のホームを踏み叫ぶ中島

2点を返し逆転まで持っていきたい青学大だったが、8回から中大2番手の大栄が登板。こちらも最速151km/hと速球派の好投手。ランナーこそ出るも本塁が遠く、試合はタイブレークまでもつれた。

常廣はこの日ストレート中心に組み立て中大打線をねじ伏せた

2回から登板している常廣は10回のマウンドにも上がった。無死1,2塁から始まるタイブレーク。中大はセオリー通り送りバントを決め、1死2,3塁で3番北村を迎えた。北村は今日4打数無安打と当たっていなかったがこの打席では常廣の球を捉えセンターへ犠牲フライを放つ。1失点でとどめたい青学大バッテリーだったが、4番森下の打席で痛恨の暴投。2点目のランナーの生還を許し2-4と突き放されてしまう。

10回裏の青学大の攻撃。こちらも同様に送りバントで1死2,3塁としたが、後続の小田・初谷が凡退し無得点で試合終了。中大との優勝争いはどちらも西舘に翻弄され2連敗のストレート負けでカードを落とす形となった。常廣は2番手としてマウンドに登り8回2/3を自責点0に抑えるも、タイブレークのランナーを生還させ決勝点を献上したために敗戦投手に。チームも常廣の力投に応えられず非常に悔しい敗戦となった。

初谷の打球はもうひと伸び足りず浅い外野フライに

この敗戦によって青学大の自力優勝が消滅。16年ぶりの優勝へ向けてあまりにも痛い敗戦だ。しかしまだリーグ戦が終わったわけではない。國學院大に自力優勝が残されているとはいえ、一筋縄ではいかないのがこの東都リーグの特徴であり恐ろしさ。青学大にも優勝のチャンスは大きく残されていると言えるだろう。ここまで「あと一勝」が遠く、それを目指して2部時代から練習に取り組んできた。次戦は駒大戦。悲願の優勝へ向け、もう一敗もするわけにはいかない。

(記事=渋谷聡志、写真=渋谷聡志、遠藤匠真、童野翔也)


 

◆監督・選手コメント◆

安藤寧則監督

-佐々木のバントについて

1点1点というか、その積み重ねだと思うので

-まずは同点ということでしょうか

そうですね。2点入るのも、1点、1点の積み重ねなので。まあ打順の巡目と状態を見ながら、あそこはバントかなというところで、はい

-先制されてもそのまま終わらないというか、ピッチャーも常廣を投入して流れを渡さず粘っていくというのはさすが青学大という試合でした

今日で言えば三点目がキーになるかなというところで早い段階で常廣を送ったんですけど、まあ期待に応えてくれて。だから常廣のためにも、たぶんウチの野手陣も思ってると思うんですけど、最後そういうワードがベンチでも出ていたので。誰かのためにっていうものも力に変えてってていうか、結果として出せれば良かったんですけど、今日は中大さんの方が上回ったというところで…

-一つ落としてしまったが、来週に向けて

そう甘くはないので。お互い下のこともあるし、そういうとこは意地の張り合いでやっているので、勝敗はつくのでこれを受け入れて次に進むしかない。またこの経験を基に来週、一回り、この短期間でもレベルアップをして臨めるようにやっていきたいと思っています

-前回の試合で佐々木が頭部死球を受けたが、その後の状態について

ええ、大丈夫です。はい。

-すぐ練習にも復帰できる状況だった?

たまたま雨で(試合)日程がずれたことも幸いして、時間が出来たことで医者とトレーナーと話をした上で、熱を持った状態も試したりして。ジョギングしたりとか、そこから始めて、特に、いいよということで

-キャプテンの山田選手の欠場要因は戦力的なことですか

いえ、ちょっとケガをしているので、それで。後、本人は出してくださいという風に、佐々木もそうだったんですけど。当たって病院から帰ってきて、夜、寮で自分の部屋に来て、「出してください」という風に来たんですけど。まあたまたま日程がこうなったこと、あと心意気そういう風にあるんですけど、全員戦力というところでいい準備を一人一人がしてきてくれたし、こっちもさせてきたというか、そういう風に作ってきたので、まあ、仲間を信じろというか、そういうところで。本当にこの一瞬のというところであれば、そこの準備はいろんなところでさせてたので、山田拓也に関しては。だからこそなお、勝ち切りたかったですけどね

-佐々木は当たった夜に「明日出してください」と言いに来た?

来ましたね。でも(試合)日程が変わったので。その心意気はもう。最後トレーナーにも「明日はいきますから。明日はいきますから」って救急車で言ったみたいなんですけど。まあそういう心意気のやつもウチは多いというか、逆にその心意気をこっちが大人として、監督、スタッフとして止めてやったりとか、ということの方が大変だなと(笑)。うまく言葉を選びながら。そういう思いで皆名前を呼ばせてこのフィールドに立つので、本当にこう、結果を出させてやりたいというのは本当に思っています

常廣羽也斗選手

-ストレートが走っていたように見えましたが、振り返ってみていかかでしょうか

真っすぐが良かったので、今日はどんどん真っすぐで押していこうとキャッチャーと話し合って、やりました

-2回に継投しましたが、準備はできていた?

はい、できていました。下村海翔の次は絶対自分だと思っていたので、ずっと準備していました

-気を付けたことなどはあったか

神宮はマウンドが固いので、しっかり足使って、上体だけで投げないように意識しました

-今後の登板に向けて

今回は全部リリーフって決まっているので、先発がどんなタイミングで崩れても試合に入っていけるように準備したいです

 

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