【硬式野球】山中稜真が魅せた!一挙7得点の劇的勝利でリーグ制覇へあと一歩!

硬式野球

東都大学野球 秋季1部リーグ 対駒大 第1回戦 10月18日 於・明治神宮野球場

◆結果◆
駒 大 100 040 000|5
青学大 000 000 70Ⅹ
|7

出場選手
1 二 藤原夏暉 大阪桐蔭→山田拓也 東海大相模
2 右 山中稜真 木更津総合
3 中 中島大輔 龍谷大平安
4 三 佐々木泰 県岐阜商業
5 指 小田康一郎 中京
6 一 片山昂星 東海大菅生
7 左 大手晴 横浜→中野波来 大阪桐蔭
8 捕 青木颯汰 聖望学園→佐藤英雄 日大三
9 遊 手塚悠 常総学院→初谷健心 関東第一

P  北村智紀 龍谷大平安→下村海翔 九州国際大附→松井大輔 県岐阜商→常廣羽也斗 大分舞鶴


いよいよ東都秋季リーグも最終節に突入。前節で勝ち点を落としたことで優勝に向けて黄色信号が灯った青学大であったが、劇的な試合展開で対駒大カード初戦をものにして見事勝利。神宮での今季初勝利も果たし、16年ぶりのリーグ制覇をぐっと手繰り寄せた。

大一番で先発のマウンドを託されたのは、エースの北村智紀(龍谷大平安)。初回をテンポ良く抑えて攻撃のリズムを作りたいところであったが、不安定な立ち上がりを叩かれる結果となった。先頭バッターの駒大・林(琢)にサードへのヒットを許すと、犠打と内野ゴロの間の進塁でいきなり二死三塁のピンチを背負う。迎えた4番大森にはレフトへのタイムリー2ベースヒットを許し、先制点を献上。青学大は初回からビハインド展開で試合を進めることになった。

先発を任された北村

駒大・東田を前に手も足も出ない状況が続く中、5回表には守備の乱れも目立ち追加点を許してしまう。先頭打者にセンターへのヒットを放たれ出塁を許すと、続くバッターの打ち取った当たりをセカンドが捕球エラーし、無死一二塁のピンチを招く。ここで北村に変わって下村海翔(九州国際大附)がマウンドに上がった。

連打を浴びてマウンドに集まるバッテリーと安藤監督

北村と共に2本柱でここまで先発を任されてきた下村。その本来の投球を見ることはできなかった。サードへの内野ゴロが際どいプレーでヒットとなり無死満塁のピンチを迎えると、続くバッターにライトへの犠牲フライを許し1失点。さらに続く4番大森に四球を与えて一死満塁のピンチを背負うと、キャッチャーの捕球エラーとセンターへのタイムリーヒットで2失点。駒大打線にロックオンされた下村はここでマウンドを降りる結果となった。

本来の投球を見せることができなかった下村

3番手に起用されたのは松井大輔(県岐阜商)。不安定な立ち上がりでライトへのタイムリーヒットを許し1点を失うも、その後は落ち着いた投球で後続を抑えた。しかし、青学大はこの回一挙4失点。大量リードを許した形で、試合後半へと突入した。

落ち着いた投球を見せる松井

この日、なかなか得点に結びつかず1点が遠かった青学大打線は、ラッキーセブンの攻撃で突如目覚めた。

先頭の中島大輔(龍谷大平安)が背中への死球で出塁すると、佐々木泰(県岐阜商)も四球で出塁し無死一二塁のチャンスを迎える。続く小田康一郎(中京)がライトへの2ベースヒットを放つとその間にセカンドが捕球エラーし2点獲得。大手晴(横浜)に変わって出場した中野波来(大阪桐蔭)が四球を選び一死一三塁にチャンスを広げると、代打出場の佐藤英雄(日大三)がレフトへのタイムリー3ベースヒットを放ちさらに2点追加。一気に1点差まで詰め寄る怒涛の攻撃を見せた。

タイムリーを放った小田

ベンチとハイタッチを交わす中島

タイムリーを放った佐藤

しかしここで終わらないのが青学大の強さである。打順は1番に帰り途中出場の山田拓也(東海大相模)が四球で出塁。二死一三塁のチャンスを迎えると、打席には監督からも「練習の虫」と評価されるほど努力家の山中稜真(木更津総合)。勝負強い4年生の一振りで打球はライトスタンドへ。3ランホームランを放ちさらに3点の追加に成功。青学大はこの回7得点のビッグイニングで逆転し、流れを一気に引き寄せた。

逆転3ランを放った山中

打席に入る前に安藤監督と言葉を交わす山中

ホームに生還し吠える佐藤

ガッツポーズを見せる山中

8回からはMax153kmのストレートを武器に今季大活躍の常廣羽也斗(大分舞鶴)がマウンドへ。ランナーを背負いつつも安定感抜群のピッチングで、最後まで相手に反撃の隙を与えることはなかった。

ストレートが冴え渡る常廣

7回の猛攻で劇的な勝利を飾った青学大。第三試合で國學院大が敗戦したため、青学大は悲願のリーグ制覇に向けてあと一勝というところまで迫っている。プレッシャーを跳ね除け躍動する青学大ナインの雄姿を目に焼き付ける準備は整った。全員野球で、自分たちの手で「一勝」を掴み取りに行く姿に期待が膨らむばかりである。16年ぶりの吉報を聞くことができるのか、熱い戦いから目が離せない。

(記事=川﨑史緒、写真=遠藤匠真・川﨑史緒・渋谷聡志)


◆監督・選手コメント◆

安藤寧則監督

-7回に一挙7点。あのビッグイニングができた要因は

全員が繋ぐ意識をもってやれたことかなと。結果が問われる世界でやっているので、全員で繋いでというのが目に見える結果として出たかなと思います。

-その前の回までは心配になるくらい色々な面でよくない点が見られたが
そうですね。まだ力不足だというところで受け止めています。

-ただこの勝利は非常に大きく、明日勝てば優勝というところまできています
大きいですね。諦めずベンチでも「ここからだぞ!」っていうので4年生中心にそういう声も飛び交っていたので。本当の意味でこうやって目に見える結果として出たら、やっぱり受け止めやすいというか、よかったなという風に思います。

-逆転スリーランを放った山中のホームランをどう評価するか

もう練習の虫というかずっと、まあこの四年生、スタッフ4年目になるんですけど、4年間一緒にやってきて、一緒にチームを作ってきてというなかで(のホームラン)。見事にバッティング、タイミングの幅というかそういうもので、もう技術で打った、気持ちと技術で、両方で打ったホームランかなと。(スタンドに)入って良かったと思います。

-5点差をひっくり返したが、どのような言葉をかけたのか

全体には特に言わなかったんですけど、自分自身もこの結果、5回終わった時点で(5点差という現状を)受け止めていました。正解と思って日々過ごしてきて、プレーオフ(今年の春行われた最下位決定戦)が終わってからよりそういう思いをもって一日一日やってきたという自負があるので。でもこういうところで、勝たなきゃいけないというゲームで0-5になって。でもこれもこれで受け止めなきゃいけない現実なんで。ただ、ここからこの展開を打破するにはどうするか。もうそればっかり、一つの事だけでなく色々なことを考えてました。だから全体にはないですけど個々に話したりとか、そういうことですかね。諦めるつもりはなかったので。このまま終われないし、一緒に築いてきた、作ってきたという思いがあるので。このまま終われないというのは、ぼくもそうですけど、出てる選手がより悔しさもあるだろうし、そんな思いで見ながら次、次っていう色々な展開をこう、いいイメージも、悪い方向のことも考えながら頭の中で準備していました。

-明日以降も続きますが、苦しいところで選手たちがよくやってくれました

野球って面白いもんで、0-5、5点差になったからこそああいう展開、ヒットも出たしとそんなものなんで。(5点差になってから次のイニングで先頭打者に)相手がフォアボールを与えたりだとか色々こう、そういうのもあるので。ただひっくり返したという事実はこいつらが積み上げてきた、つけてきた積み重ねの力でもあるだろうし、底力という言い方もできるのかなと。ただもう一個、次があるので、本当の意味の底が明日問われると思うので、そのことで頭がいっぱいです。

山中稜真選手

-ナイスバッティングでした。どのような思いで打席に入ったのか

皆が繋いで、僕の所にチャンスで回ってこいという気持ちでずっと待っていて、前の(打順を打っている)キャプテンの山田がなんとか僕につないでくれたので。ホームランになれとは思っていなかったんですけど、監督さんにタイムがかかった時に呼ばれて、しっかり割り切ってしっかり振ってこいと言われたので、それで(カウントが)バッター有利になって思い切って振った結果、一番いい結果になったなと思います。

-打った球種とコースを教えて下さい

高めのスライダーです。

-優勝の可能性を高めた勝利となったが、それについてどう思うか

他力ではあったんですけど、2連勝というのを中央戦に負けてからもう一回気を引き締めなおしてずっと練習してきました。まず今日勝ったのは勝ったでそれは受け止めて、すぐ明日試合なので、パッと切り替えて明日に向けて準備していきたいなと思います。

-6連勝の後に連敗で、今日も途中まで流れがずいぶん悪くなっていたが、7回で吹っ切れた感じが選手達にはあるか

(連敗を)引きずっているつもりは全然なかったです。出ていない選手たちの思いだったりとか、スタンドで応援してくれている方々の思いだったりとか、そういう方たちがこんな劣勢の中でもすごい応援してくれたので、ベンチが、出ている選手たちがシュンとしている場合ではないと思ってずっと臨んできた結果7回、ああいう形で逆転できた形だと思います。

-春ベストナインに選ばれ、秋はすこし苦しんだイメージもあったが

調子が悪いというよりは僕の技術不足というか、頭の面での、相手に良いピッチングをさせている力だったりとか、調子自体は僕の体は全然元気なので、調子悪いつもりはないんですけど、技術の部分が全然足りていなかった。試合を重ねるにつれてよいピッチャーと対戦できているので、それでちょっとずつ成長できた結果がまたこうやって出たのかなと思います。

-大学卒業後、社会人に進んで野球を続ける予定は

はい、やります。

-ホームランの感触は

練習通り打てたと思います。

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