第72回全日本大学野球選手権大会 決勝 対明治大 6月11日 於・明治神宮球場
◆結果◆
明治大 000 000 000|0
青学大 201 100 00 X|4
◆出場選手◆
1 中 中島大輔 龍谷大平安
2 三 佐々木泰 県岐阜商業
3 一 小田康一郎 中京
4 左 西川史礁 龍谷大平安
5 指 松本龍哉 盛岡大附→中田達也 星稜
6 二 藤原夏暉 大阪桐蔭
7 捕 渡部海 智辯和歌山
8 遊 初谷健心 関東第一→手塚悠 常総学院
9 右 中野波来 大阪桐蔭
P 常廣羽也斗 大分舞鶴
曇り空の下迎えた運命の決勝戦。青学大と明治大はそれぞれのリーグで完全優勝を果たし、全国大会でもここまで圧倒的な強さを誇ってきた。東都対六大学で注目が集まったこの試合。結果は、青学大が完封勝利で終え、18年ぶり5度目の日本一に輝いた。
大事な先発のマウンドを託されたのは、準々決勝で好投を見せたエース・常廣羽也斗(大分舞鶴)。明大・宗山塁にクリーンヒットを放たれるも、気合のこもった投球で相手打線を打ち取り、初回を無失点で終えた。
守備の良いリズムを攻撃にも繋げていきたい青学大は、初回の先制に成功する。一死から佐々木泰(県岐阜商業)が死球を受け出塁すると、今大会一戦目で猛打賞の活躍を見せた小田康一郎(中京)がセンターへのヒットを放ち、一死一二塁のチャンスを迎えた。続く四番の西川史礁(龍谷大平安)が振り抜いた初球は、先制のタイムリー2ベースヒットに。さらに、一死二三塁のチャンスで松本龍哉(盛岡大附)のファーストゴロの間に三塁走者が生還。初回に2点を先制し、先発の常廣を援護した。
3回裏には、先頭の中島大輔(龍谷大平安)がヒットで出塁すると、相手のエラーが絡み西川も出塁。二死一三塁のチャンスで松本からライトへのタイムリーヒットが飛び出し1点の追加に成功した。
4回裏には、初谷健心(関東第一)と中野来波(大阪桐蔭)のヒットでさらに1点追加。ドラフト候補の明大・村田賢一から序盤に4点を奪い、試合の流れを掌握した。
投げては先発・常廣が圧巻のピッチングを見せる。いつもは表情一つ変えないクールな常廣だが、この日は何度もマウンド上で吠え、魂の投球を披露した。持ち味の速球を中心に変化球も織り交ぜながら明大打線を翻弄し、三振の山を築く。9回表には二死から連打を浴びピンチを招くも、最後はピッチャーゴロに仕留めゲームセット。「テンションが上がっていた」と試合後にガッツポーズも見せ、チームメイトと共に喜びを爆発させた。9回126球10奪三振の力投で完投勝利を挙げ、胴上げ投手にもなった常廣は、今大会で最高殊勲選手賞と最優秀投手賞を受賞。自身の名を全国に知らしめたと共に、チームを悲願の日本一へと導いた。
試合後、安藤監督は「泣くつもりはなかったのですが、過去のことがずっと蘇ってきて」と話し、大粒の涙を流した。先発を完投させたことについては「点取られるまではこいつと心中しようと思って臨んだ」と、素晴らしい投球を見せた常廣を信頼して任せていたことを明かした。
主将の中島は「ほんとに嬉しかったですし、すごい苦しい時期、試合を乗り越えてきた学年だと思うので、4年生を中心にチームが上手く回って本当に嬉しいです。」と喜びを語ってくれた。
18年ぶり5度目の日本一に輝いた青学大は、留まるところを知らない超強力打線と、大学野球界屈指の投手陣の活躍で、全国の舞台でも圧倒的な強さを見せつけた。下級生の活躍が目を引く今年のチームだが、やはり、最上級生の存在は大きい。2部を経験した最後の世代であり、安藤監督がスカウトした最初の世代でもある今の4年生。「あと一勝」に泣き、悔しい思いをしてきた先輩たちの背中を見て、今年こそという思いを持ってチームを作り上げた。今年の青学大が獲得した日本一の称号は、監督にとって、歴代のOBにとって、そして今の4年生にとって、大きな意味を持つ結果となっただろう。
少数精鋭の選手・監督・コーチ・スタッフ・マネージャーが一丸となって戦う全員野球を武器に頂点まで上り詰めた王者は、秋に向けて進化を止めることはない。優勝経験を経てさらに強くなる青学大の今後に、期待が膨らむばかりだ。
(記事=川﨑史緒、写真=家永萌愛・遠藤匠真・川﨑史緒・田原夏野・童野翔也)
コメント