【硬式野球】大神・小田が会心の一打を放ち熱闘を制す!

硬式野球

東都大学野球 春季1部リーグ 対日大 第1回戦 4月16日 於・明治神宮野球場

◆結果◆
青学大 000 100 001  3|5
日 大 200 000 000 0|2

◆出場選手◆
1 二 藤原夏暉 大阪桐蔭
2 中 中田達也 星稜
3 一 小田康一郎 中京
4 右 青山達史 智辯和歌山 → 打 稲垣渉 帝京→ 左 矢野丈太朗 國學院久我山→ 捕 渡部海 智辯和歌山
5 指 松本龍哉 盛岡大附 → 打 星子天真 大阪桐蔭
6 三 初谷健心 関東第一
7 遊 山口翔梧 龍谷大平安
8 左右 大神浩郎 福岡大大濠
9 捕 南川幸輝 大阪桐蔭 → 左 南野倫平 龍谷大平安

P 中西聖輝 智辯和歌山 → 鈴木泰成 東海大菅生


先発の中西聖輝(コ4=智辯和歌山)は初回に2点を失うものの、2回以降は得点を許さず9回13奪三振。打線は中西の好投に応えるべく、4回には藤原夏暉(法4=大阪桐蔭)のタイムリーヒット、9回には大神浩郎(総1=福岡大大濠)のソロホームランで同点に追いつく。タイブレークとなった10回表、無死二、三塁で小田康一郎(史4=中京)がライトへの3ランホームランを放ち、この日初めて日大をリード。守護神・鈴木泰成(社3=東海大菅生)はこのリードを守り切り見事勝利を収めた。

 

開幕初戦では惜しくも敗れたものの、その悔しさを糧に立て直し、良い雰囲気で第2週を迎えた。対中大戦の初回攻撃では、ここまでの3試合すべてで得点を記録しており、勢いのある立ち上がりが期待された。その中で、先頭の中田達也(社4=星稜)がチームに流れを引き寄せるライト前ヒットを放つ。小田もエラーの間に出塁するも、後続は好投手・市川の巧みな投球に封じられ、得点には至らなかった。

幸先よくヒットを放った中田

この試合の先発マウンドを任されたのは、絶対的エース・中西。これまで数々の接戦を投げ抜いてきた右腕にかかる期待は大きい。しかし初回、いきなり先頭打者に対して投じた初球を捉えられ、痛烈なヒットを浴びると、そこから流れを断ち切れず。続く強力な日大クリーナップに連打を許し、先制点を献上してしまう。さらに犠牲フライで追加点を許し、わずか1イニング目で2点のビハインドを背負う展開に。エースとして託された大事な立ち上がりで、まさかの失点スタートとなった。

先発の中西

初回こそ失点を喫したものの、中西はすぐに本来の投球を取り戻し、好投を披露する。持ち味である緩急を巧みに使い分けながら、日大打線を手玉に取った。特に圧巻だったのは3回のマウンド。先頭から三者連続で空振り三振を奪う完璧な内容で、チームを勢いづける。

4回表、中西の粘り強い投球に応えたい打線が反撃の糸口をつかむ。山口翔梧(営2=龍谷大平安)、大神の連打でチャンスを広げる。二死一、二塁の場面で流れを切らすことなく迎えた藤原の打席。藤原は低めに落ちる変化球を見極めながらしっかりバットを合わせ、センター前に弾き返すタイムリーヒットを放つ。走者が生還し、1点を返すことに成功した。

ヒットを放った山口

タイムリーヒットを放った藤原

塁上では喜びを露わにした

反撃の兆しを見せた青学大だったが、その後は日大の先発・市川の前に打線が封じ込められる展開となる。市川の巧みな投球に青学打線はなかなか決定打を見いだせず、得点圏に走者を進めることができない。一方、青学のエース・中西も初回以降は安定感を取り戻し、要所を締める投球で相手打線を抑え込む。両チームのエースが気迫のこもった投げ合いをみせ、両者一歩も譲らない膠着状態が続いた。

迎えた9回表、なんとしてでも追いつきたい青学大は、先頭打者に期待のルーキー・大神を迎える。まだ1年生ながら、持ち前の勝負強さを買われてこの日もスタメンに名を連ねていた。その4球目、甘く入った市川のストレートを完璧に捉えると打球は伸びていき、ライトスタンドに飛び込む劇的な同点ソロホームランとなった。まさに土壇場での起死回生の一発に、青学ベンチは総立ち。ダイヤモンドを一周する大神の表情には喜びがあふれていた。

同点のホームランを放った大神

雄叫びをあげて帰塁した

その裏、中西は好打者・谷端にヒットこそ許したものの、低めに集めた変化球で打者を翻弄。中西は9回125球13奪三振の力投をみせた。

中西はエースとしての役割を全うした

試合は延長タイブレークへ突入。緊張感が漂う中、その先頭打者として打席に立ったのはここまでの試合でも安打を重ねている打撃好調の小田。重圧のかかる場面でも冷静さを失わず、初球からしっかりとボールを見極めていく。ファウルで粘りを見せながら球数を稼ぎ、迎えた7球目。高めに浮いたストレートを逃さず振り抜いた瞬間、打球は美しい放物線を描いてライトスタンドへ一直線。小田自身も「打った瞬間、入ると確信した」と語るほどの完璧な一打は、会心の特大ホームランとなった。その直後、小田はバットを力強く放り投げ、堂々とした姿でダイヤモンドをゆっくりと一周。まるで勝負を決めるべくして決めたかのようなその貫禄ある姿に、ベンチもスタンドも大きな歓声に包まれた。青学大に流れを引き寄せる、まさに値千金の一発となった。

確信の一発を放った小田

勢いに乗った青学大は、怪我の影響もありここまで不出場で今春初打席に立った渡部海(コ3=智辯和歌山)にもヒットが飛び出した。

復帰の打席に立った渡部

延長タイブレークでついに日大相手に初めて奪ったリード。このリードを何としてでも守るべく、最後のマウンドを絶対的守護神・鈴木に託す。味方のエラーが絡み、一気に満塁のピンチを背負う展開に。緊迫した場面でも鈴木は一切動じず、しなやかなフォームから繰り出される150キロに迫る鋭いストレートを武器に、打者を真っ向から押し切っていく。緩急を織り交ぜながらも勝負どころでは力でねじ伏せ、三者連続の三振を奪った。白熱の一戦は、劇的な幕切れを迎えた。

鈴木は完璧な投球で勝利に貢献した

試合を振り返り安藤寧則監督は「今日勝てたことは自身にも繋がるだろうし、より自分たちの野球がやりやすくなった」と安堵の表情を浮かべた。今季2勝目をあげた中西の投球については「我慢強く投げてくれた」と称賛した。

大神はスタンドにガッツポーズをみせた

この一戦を通じて、青学大は個々の力だけでなくチーム全体の結束力や粘り強さを示した。苦しい展開の中でも若手の台頭、上級生の安定感、そして主力選手の勝負強さが噛み合い全員野球でつかみ取った価値ある1勝だったと言えるだろう。次戦も一戦必勝で勝利を目指す。

(記事=比留間詩桜、写真=田原夏野・比留間詩桜・山城瑛亮)

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