【硬式野球】激戦の準決勝は中野の猛打賞・常廣の完投で見事勝利!四冠達成に王手!

硬式野球

第54回明治神宮野球大会 準決勝 対富士大 11月19日 於・明治神宮球場

◆結果◆
富士大  000 110 010 |3
青学大  002 010 10x |4

出場選手
1 右 中田達也 星稜→星子天真 大阪桐蔭→山本英錬 今治西
2 三 佐々木泰 県岐阜商
3 一 小田康一郎 中京
4 左 西川史礁 龍谷大平安
5 遊 初谷健心 関東一→手塚悠 常総学院
6 捕 渡部海 智辯和歌山
7 二 藤原夏暉 大阪桐蔭
8 右 中野波来 大阪桐蔭
9 投 常廣羽也斗 大分舞鶴

P 常廣羽也斗 大分舞鶴


前日に行われた2回戦を快勝で終え、良い流れで迎えた準決勝。相手は、全日本大学野球選手権の準決勝でも対戦し熱戦を繰り広げた富士大学。好カードの一戦を前に、神宮球場には多くの観客が詰めかけた。試合は両者譲らない白熱の展開を見せるも、1点のリードを守り切った青学大が勝利。運命の決勝戦へと駒を進め、四冠達成へ王手をかけた。

この日欠場した主将の中島

強敵・富士大学との一戦で先発のマウンドに上がったのは、ここまで下村海翔(コ4)と共に青学大を引っ張ってきたエースの常廣羽也斗(法4)。1人に四球を与えるも、前戦に続き渡部海(コ1)が盗塁を試みたランナーを刺殺。1年間スタメンマスクを被ってきたルーキーに助けられ、初回を無失点で終えた。

大学最後の先発登板となった常廣

海キャノンで常廣を助ける渡部

試合が動いたのは3回裏、青学大の攻撃であった。先頭の中野波来(法4)がセンターへのヒットで出塁すると、大学初打席となった常廣が危なげなく犠打を決め、一死二塁のチャンスを迎える。ここで打席には中田達也(社2)を迎える。中田はこの日、怪我の影響でベンチスタートとなったキャプテンの中島大輔(総4)に代わって、スタメンに抜擢された。ここまで好投を見せていた富士大・安徳駿が投じた2球目をフルスイングで振り抜くと、打球はそのままライトスタンドまで届き2ランホームランに。起用に応える働きを見せ、先制点を挙げることで常廣を援護した。

ヒットを放った中野

しっかりと犠打を決めた常廣

ホームランを放った中田

援護を受けた常廣は4回表、四球と死球で二死一二塁のピンチを背負うと、続く打者にセンターへのタイムリーヒットを許し、1点を相手に献上した。制球に苦しんだエースは、5回表にも先頭打者にレフトへのヒットを浴び出塁を許すと、今大会注目打者の一人である麦谷にライトへのタイムリーヒットを放たれ失点。全日本選手権でも苦戦した勢いのある富士大打線を止めることができず、試合は振り出しへと戻った。

序盤は制球に苦しんだ

四冠達成に燃える春の王者は、副将である中野の奮起で相手を圧倒した。試合前「(中島)大輔の分まで俺がやる」と宣言した中野は、5回裏にもセンターへの2ベースヒットで出塁し、2打席連続の出塁でチャンスメイク。二死二塁の好機を迎えると、中野の奮闘に呼応するように佐々木泰(コ3)もレフトへのタイムリーヒットを放ち、待望の勝ち越しに成功する。

2ベースヒットを放った中野

勝ち越しのタイムリーを決めた佐々木

渾身のガッツポーズを見せた

さらに7回裏、中野が猛打賞となる3本目のヒットを放ち一死二塁とすると、「もともとバッティングは好き」と語る常廣は迷わずバットを振り抜き、自身も大喜びの大学初安打を決めた。一死一三塁とチャンスが広がった場面で代打の星子天真がコールされると、星子はセンターへの犠牲フライを放ちサードランナーの中野が本塁に生還。貴重な追加点を獲得した。

大学初安打を放った常廣

喜びの表情を見せた

追加点の犠牲フライを放った星子

再びリードをもらった常廣は、本調子ではないながらも要所要所を抑えるピッチングを見せ、6回表には3つの三振を奪い、徐々に投球を立て直していった。8回表には、大学野球選手権で下村から本塁打を放ち前の打席でもタイムリーを許した麦谷に、投じた5球目をレフトスタンドに運ばれソロホームランを浴びることに。しかし、武器のフォークで空振り三振を奪うなど後続を封じ込め、1点のリードを守った状態で最終回を迎えた。

ベンチに迎えられる常廣

常廣は最後まで、マウンドを誰にも譲ることはなかった。9回表、先頭をセンターフライ、続く打者をセカンドゴロに仕留めると、最終打者にはファウルで粘られるもショートゴロに打ち取りゲームセット。142球7奪三振の力投で見事に完投勝利をおさめ、チームを決勝の舞台へと導いた。

常廣の完投勝利に喜ぶチームメイト

試合後、安藤監督は「よくやってくれた」と激闘の準決勝を制した選手たちを称えた。途中からブルペンに入った下村について「コーチと投げさせるつもりで準備させていた」と語りつつも、「(常廣に)代打を送ろうかなって考えたときも、すでに防具もつけてよしやってやる!って感じで準備していた。目がギラギラしていた。最終的には常廣と心中するつもりで9回までいかせた」と、先発の常廣を信頼して最後まで任せたことを明かした。また、この日欠場した中島については「トレーナーや本人とも相談してアタマから出れる状態ではなかったので、明日に備えて欠場させた」と語り、決勝には出場予定であることを話した。明日への意気込みを問われると「総力戦なので、全員とにかく全員戦力で出せるように一人一人送り出す選手の力を発揮させたいと思います。」と語った。

完投勝利を飾った常廣は「なかなかコントロールが定まらない中で、要所でフォークボールを低めに集められていたのが、9回投げられた結果に繋がったなと思います。」と試合を振り返った。大学初安打を決め喜びの表情を見せたバッティングについては「この一か月間、たくさんバッティング練習したので、その成果が出て嬉しかったです。」と話し、さらに前日の下村の好バッティングも刺激になったことも明かした。決勝での意気込みについては「投げても終盤の大事なところで出てくると思うので、そこでしっかりフォークボールを低めに落として、自分のピッチングを最後できたらいいなと思っています。」と四冠達成へ闘志を燃やす。

試合後にインタビューを受ける佐々木と常廣

四冠を目指して駆け抜けてきた今シーズンも、残すところ1試合となった。青学大躍進の立役者である4年生にとっても、学生野球ラストゲームとなる決勝の戦い。日本一をかけて戦う相手は、同じ神宮球場をホームグラウンドとする東京六大学野球連盟の慶應義塾大学である。泣いても笑っても、このメンバーでできる最後の野球。自主練から育まれた個々の爆発的な能力、そして、武器である少数精鋭の全員野球を活かして、大学初、そして史上5校目の四冠へと挑戦する。春の王者の強さは未だに顕在であり、進化を遂げている。今年のチームらしく、最後まで笑顔で戦い抜く青学大ナインの姿に注目だ。

(記事=川﨑史緒、写真=遠藤匠真・川﨑史緒・慶長駿太・田原夏野・童野翔也・比留間詩桜・山口小春)

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