【硬式野球】悔しさの中で仲間に支えられ続けた4年間 〜4年生インタビュー④ ヴァデルナフェルガス〜

硬式野球

今年度大学三冠を成し遂げた青学大。その中心にいた4年生は、2連覇を成し遂げた明治神宮野球大会をもって硬式野球部を引退しました。青山スポーツでは4年生12名にインタビューを行い、青学大硬式野球部で過ごした4年間を振り返っていただきました。最上級生としてチームを牽引してきた4年生の皆さんの熱い言葉を全11回に渡ってお届けします。第4回の主人公は切れ味鋭いの変化球が武器のヴァデルナフェルガス(国経4=日本航空)選手です。


「色々あったな、と思います」
青学大での4年間を振り返って、ヴァデルナの口から出た言葉は、驚くほどシンプルだった。しかしその一言には、大学野球の厳しさも、仲間と過ごした濃密な時間も、すべてが詰まっている。青学大での4年間は、決して一直線ではなかった。辛いことも、楽しいこともあった。チームとしても、個人としても浮き沈みを繰り返しながら、それでも前へ進んできた時間だった。

大学野球生活の中で、最も印象に残っている試合として挙げたのは、4年春、優勝を決めた国学大戦だ。「僕もベストパフォーマンスが出せましたし、チームも優勝できたので」主力としてマウンドに立ち、結果を残す。その理想形を体現できた一戦だった。チームの勝利に直結する投球ができたという実感は、ヴァデルナの中に確かな手応えとして残っている。

4年春、国学大戦で力投したヴァデルナ

しかし、その良い流れを最後まで維持することはできなかった。4年秋、ヴァデルナは状態を落とし、思うような投球ができなくなった。主力として投げ続けたいという思いが強かったからこそ、マウンドに立てない時間は苦しかった。

「主力として投げたかった」。4年生としての責任、チームを背負う覚悟。その分だけ、自分自身への歯がゆさも募っていった。だが、その間もチームは中西聖輝(コ4=智辯和歌山)や鈴木泰成(社3=東海大菅生)、渡辺光羽(営4=金沢学院大附)といった投手陣が奮闘し、勝利を重ねていく。

「チームとしては良かったなと思うんですけど、個人的には悔しいです」チームの勝利を素直に喜びながらも、自分の立場から目を背けない。その誠実さは、ヴァデルナがこの4年間で培ってきたものだ。

状態を落とした原因については、「一個じゃない」と振り返る。「変に球速を上げようとして、ちょっと悪くなってしまったところはあります」と、より高みを目指そうとした結果、歯車が噛み合わなくなった。だが今振り返れば、その経験もまた、自分の投球と向き合うための大切な過程だった。

不調に苦しむ時間が続く中で、ヴァデルナを支えていたのは、やはり寮生活も共にするチームメイトの存在だった。感謝を伝えたい人として名前を挙げたのは、鈴木と平野順大(コ3=京都国際)。「僕がつらい時に、あいつらがかけてくれた何気ない言葉が、心の支えだった」と語る。結果が出ない中でも、仲間の存在が前を向かせてくれた。

渡部海(コ3=智辯和歌山)とヴァデルナ

そして迎えたドラフト。中西が中日から1位、小田康一郎(史4=中京)がDeNAから1位指名される中、ヴァデルナの名前が呼ばれることはなかった。その現実は、ヴァデルナにとって簡単に受け止められるものではなかった。「悔しいっすね」その一言に、偽りのない感情がにじむ。ただ、その悔しさを下を向く理由にはしなかった。「このムカムカしている感じは大事だと思う」悔しさを消すのではなく、次へ進むための原動力にする覚悟があった。

進路は社会人野球。2年後のドラフトを明確に見据え、課題ははっきりしている。球速アップとコントロール向上。変化球には自信があるからこそ、よりシンプルで、より強い武器を磨いていく必要がある。

参考にしている投手として名前を挙げたのは、メジャーリーグで活躍するクリス・セールだ。
「僕と結構タイプが似ていて、いいイメージを作るために見ています」と長身左腕から繰り出される角度のあるボールや独特のフォームは、自身が目指す投手像と重なる部分が多いという。

青学野球部については、「家族みたいな感じ」と表現した。人数が少なく、選手同士も、指導者とも距離が近い。寮生活を通して築かれた関係性は、結果が出ない時期もヴァデルナを支え続けてきた。「人数が少なくて、能力が高いチームでやれているのが誇り」。他にはない環境で過ごした4年間が、確実に自分を成長させてくれたという実感がある。

そんなチームの未来を担う存在として、最後に期待する後輩の名前を挙げてくれた。投手では、グラウンド外でも仲が良かったという平野を即答。「頑張ってほしいですね、あいつには」と、支えになってくれた後輩への思いを口にする。野手では青山達史(コ2=智辯和歌山)の名前を挙げ、「ドラ1になるポテンシャルは持っているので。肩もパワーも強いですし、がんばってほしいですね」と、その秘めた能力に大きな期待を寄せた。

後輩へのメッセージは、重圧を知るからこそ出てくる言葉だった。「プレッシャーを感じすぎず、のびのびやってほしい」スタメンが多く抜ける来季、簡単なシーズンにはならない。それでも、自分たちらしい野球を貫いてほしいと願っている。

左から杉森宏大(現デ3=立命館守山)、ヴァデルナ、平野

最後に、ファンの方々への思いも語った。「来年のチームにも期待していただいて、いっぱい応援してくれたら後輩たちも嬉しいと思うので。これからも応援よろしくお願いします」青学野球部への変わらぬ愛情と、未来を託す後輩たちへの思いが、その言葉には込められていた。

悔しさも、迷いも、支えてくれた仲間の存在も。
青学大で過ごした4年間のすべてが、ヴァデルナを次のステージへと押し出している。

(記事=戸田隼人、写真=田原夏野・山城瑛亮・比留間詩桜)

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