【硬式野球】ケガを乗り越えプロの世界へ~4年生インタビュー⑨下村海翔~

硬式野球

大学三冠の快挙を成し遂げた今年のチームの4年生は、先日の明治神宮野球大会で青山学院大学硬式野球部を引退しました。青山スポーツでは4年生全15名にインタビューを行い、この4年間を振り返っていただきました。最上級生としてチームを牽引してきた選手・スタッフの皆さんの熱い言葉を全10回に渡ってお届けします。

第9回は怪我を乗り越え1位指名を掴み取った、下村海翔(コ4)投手編です。


青学大のエースとしてシーズン三冠に大きく貢献した下村海翔(コ4)。ドラフトでは阪神に1位指名され、来シーズンからは満を持してプロの舞台に足を踏み入れることとなった。「目指していたところなのでそんな下村の大学野球人生を振り返って見ると、決して平らな道ではなかった。

下村の大学野球人生は2部リーグから始まった。「2部から日本一という激しい4年間を過ごせた人は少ないと思うのですごくいい経験になった」と下村も振り返っている。
1年生からリーグ戦のマウンドに上がった下村もケガに苦しんだ時期もあった。青学大が1部昇格を果たした矢先、下村のひじは限界を迎えていた。検査の結果、右ひじのクリーニング手術が必要となった。術後は、復帰までおよそ1年を費やし、下村にとってはもどかしい日々が続いた。

1年次の下村

下村と佐藤(英)の当時1年生バッテリー

復帰登板となったのは、3年春の大分での開幕戦第2戦だった。日大打線を1回無失点。堂々たる復活を遂げた。その後、その年の春は主にリリーフとしてブルペンを支え、秋には待望の先発に返り咲き、北村智紀(2022年卒)と共に2本柱として防御率は1.72と好成績を収めた。

3年次の下村

そして4年生として迎えた今季、下村は圧巻なピッチングでプロのスカウトたちをもうならせた。防御率は春秋ともに驚異の1点台以下。「春秋連覇」、そして、自身も4年間で最も印象に残っていることとして挙げた「全日本大学野球選手権優勝」にも貢献した。さらに、常廣羽也斗(法4)、中島大輔(総4)、佐々木泰(コ3)、西川史礁(法3)と共に大学日本代表にも選出され、日米大学野球選手権ではMVPにも輝いた。高校時代からの夢でもあったプロ入りに近づいた瞬間でもあった。

大学日本代表にも選出された

2023年10月26日、運命のドラフト会議。下村の指名はほぼ確実視されていたが、阪神タイガースがドラフト1巡目で指名した。指名された瞬間、下村は満面の笑みでスクリーンを眺めていた。「目指していたところなので嬉しい部分はあるんですけど、その分プレッシャーもあるので頑張らないとという想いがあります」と後のインタビューで意気込みを語ってくれた。地元球団ということもあり、地元の友達からは「阪神きてくれて嬉しいわー」という連絡もきたという。ドラフト指名後の会見では、自身の地元で幼いころから甲子園球場にも足を運んでいたゆかりのあるチームでの躍動を誓った。

阪神ドラフト1位指名を受けた瞬間

プロで対戦してみたい投手、打者を問うと、「投手は常廣、打者は中島」と力強い口調で同じくプロの世界に足を踏み入れる同期2人の名前を挙げた。常廣と下村は同じリーグであり、二人が投げ合う姿を見るのもそう遠くはないだろう。

青学大を支えてきたWエース

「結果に左右されず、自分を見失わないようにプロの世界でもやるべきことをやりきるというのがプロでの目標です」。下村はプロに入ってからも常に向上心を持ち続けていきたいとも述べてくれた。

一流の選手がひしめき合うプロの世界。1部リーグ昇格への立役者から全国制覇の立役者になった下村が今度は日本最高峰の舞台のマウンドに上がる。波乱万丈であった大学野球生活の幕を閉じるが、下村の野球人生はまだ始まったばかりだ。

(記事=童野翔也、写真=石岡亮・川﨑史緒・童野翔也)


◆番外編◆

記事には組み込めなかったエピソードを紹介!

―この4年間を振り返って

「2部から始まって、日本一も経験できたので、意外とこういう2部から日本一みたいな激しい4年間を過ごせた人は少ないと思うのでいい経験を出来たと思います」

―ラスト1年間はどういう1年だったか

「引っ張っていかないといけないという責任はあまり感じていなかったんですけど、それでもしっかりやらないといけない立場だと思っていたので、そういう気持ちでやっていました」

―野球人生の中でのターニングは

「何個かあるんですけど、今ここまで野球をやれているのは中学校の時かなと思います。中学2年から宝塚ボーイズに入っていたんですけど、その前所属していたチームから宝塚ボーイズに入団したことが本気で野球をやる分岐点になった気がします」

―あなたにとって青学野球部とは

「絆。学年関係なく、指導者までがここまで雰囲気のいいチームはたぶんないというか、そこは自信を持って全国に誇れる部分じゃないかなと思います。絆の深さは青学野球部の特徴だと思います」

―仲のいい後輩は

「佐々木泰と清水(隆太郎)ですね。あとは、ピッチャーだったら渡辺光羽。みんないいですけど、その辺はよく出かけたりします。あ、(西川)史礁もそうっすね、同部屋の時期もあったので」

―後輩にかける言葉

「自分がそんなに大きい言葉を言える立場ではないですけど、昨日いいなと思ったことがあって。どうみても僕のせいで負けているのに(明治神宮大会決勝)、フォアボールで押し出しだして、あの試合終わった後に、初谷(健心)とか(藤原)夏暉とか泰とかみんな寮に帰ってからとか、謝りに来て、「いっぱいエラーしてすみませんでした、自分が打てなくてすみませんでした」と言ってきて。もうそれを見たときに、どうみても俺のせいで負けたのに、これだけ自分に矢印が向けられる選手が揃っているのはすごいな、シンプルに後輩なのにしっかりしているなと。そういう風に思えているので期待しかないんですけど、一つかけるとするなら、一人ひとりが過信せず自分に矢印を向けて課題を一つひとつ潰していって、あとはもう目標を立ててやりきるだけじゃないですかね。絶対に今のメンバーは強くなると思います」

苦楽を共にした佐藤(英)は明治神宮大会決勝敗戦後、下村に真っ先に駆け寄っていた

―齋藤飛鳥さんのストーリーにあげられていたが、その時は

「寮にいて、友達からDMとLINEで、「これえぐない、やばい」と言われてスクショした写真が送られてきて、なんでみんなこんな俺の顔写真ばっか送ってくるんやろ、と思ってたら齋藤飛鳥さんのストーリーにあれが載っていて、え?みたいな感じで、確認したらまじやんみたいな感じですね」

―そのことについて記事になっていました

「だからと言って連絡取れるとかないですよ(笑)」

―今後ですかね、プロに行って

「いや無理っしょ(笑)」

―岡田監督には挨拶は

「まだしたことないです、これからです」

―阪神で話してみたい選手は

「村上頌樹投手とは話してみたいというか、参考にしたいな、近くで見てみたいなという思いはあります。あと単純に話してみたいというのであったら、佐藤輝明選手は実家が近所なので。小学校が隣で、めっちゃ近いので地元のお話とかで盛り上がれたらなと思います。森下さんも一番今では頼りにしているというか、最初は不安なので。一人知っている人がいるだけでも違うなというのはあるので。森下さん、佐藤輝明さん、村上さん、話したいっす」

―ファンに向けて一言

「大学野球はもう終わったんですけど、これから違うステージに行ってもしっかりやるべきことをやってチームに貢献できるように頑張ります」

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