東都大学野球 春季1部リーグ 対中大 第1回戦 4月7日 於・明治神宮野球場
◆結果◆
青学大 300 000 000|3
中 大 120 002 00X|5
◆出場選手◆
1 二 藤原夏暉 大阪桐蔭
2 左 稲垣渉 帝京 → 大神浩郎 福岡大大濠
3 一 小田康一郎 中京
4 右 青山達史 智辯和歌山
5 中 中田達也 星稜
6 指 松本龍哉 盛岡大附
7 三 初谷健心 関東第一
8 遊 山口翔梧 龍谷大平安 → 打 南野倫平 龍谷大平安
9 捕 南川幸輝 大阪桐蔭 → 打 星子天真 大阪桐蔭
P 中西聖輝 智辯和歌山 → ヴァデルナフェルガス 日本航空
ついに開幕した東都大学野球春季リーグ。史上初の2年連続四冠を狙う青学大は中大との開幕戦を飾った。初回に松本龍哉(コ4=盛岡大附)と初谷健心(総4=関東第一)からタイムリーヒットが飛び出し、3点を先制。しかし先発・中西聖輝(コ4=智辯和歌山)は守備の乱れも重なり6回5失点。その後も追加点を挙げることができず敗戦。開幕戦は無念の黒星となった。
「野球を愛し、仲間を信じ、支えてくださるすべての方々に感謝しながら、観てくださっている方々に感動を届けられるよう、勝利を目指して全力を尽くすとともに、フェアプレーの精神を忘れず、正々堂々戦うことを誓います」
そう力強く語った藤原夏暉(法4=大阪桐蔭)主将の選手宣誓により、東都大学野球春季1部リーグが幕を開けた。

選手宣誓を務めた主将の藤原
試合に先立ち行われた始球式では、青学大硬式野球部の前部長である稲積宏誠学長が見事な投球を披露した。

始球式に登場した稲積学長
初回、青学大は先頭打者の藤原が鮮やかなヒットで出塁し、打線に勢いを与える。小田康一郎(史4=中京)も低めのスライダーを捉えてヒットを放ち、続く青山達史(コ2=智辯和歌山)は四球でつなぎ、2死満塁の好機を迎える。ここで打席に立った松本は中大先発・山口のスライダーをライト方向へ運ぶタイムリーヒットを放った。貴重な先制点の獲得に帰塁した藤原と小田は喜びをあふれさせた。

先頭打者としてヒットを放った藤原

先制タイムリーを放った松本
その後も打線は勢いを止めることなく猛攻。初谷からもタイムリーヒットが飛び出し、初回から3点を獲得した。

初谷からもタイムリーヒットが飛び出した
開幕投手を任されたのは、最高学年となったエース・中西。エースとしての自覚と覚悟を持ってマウンドに上がる。中西は140キロ台後半のストレートを軸に気迫のこもった投球を見せるが、2つの死球と味方の失策が絡み1点を失う。なおも四球で満塁のピンチを迎えるが冷静な投球で後続を断ち、最小失点で初回を切り抜ける。

先発の中西
続く2回裏、初回のリードを守り切りたい中西だが、先頭打者にツーベースを許すと自らのエラーやヒットが絡み、2点を献上。試合を振り出しに戻してしまう。
なんとか流れを引き戻したい青学大は、4番・青山がヒットで出塁するも、後続が倒れ得点には至らない。こうした中、5回には代打策を敢行。稲垣渉(史2=帝京)に代わって打席に立ったのは、期待のルーキー・大神浩郎(総1=福岡大大濠)。初打席で鮮やかな二塁打を放ち、ガッツポーズで喜びを表現。ベンチの上級生たちもその活躍を笑顔で称えた。

ツーベースを放った大神

大神は1年生ながら堂々の神宮デビューを果たした
一方、3回以降は中西が3イニング連続で三者凡退に抑え、尻上がりに調子を上げていく。しかし6回、2死二塁の場面で伊藤に投じた初球のフォークがレフトスタンドに吸い込まれ、痛恨の逆転2ランを浴びてしまう。試合後、中西は「根本的な技術不足。初回から点を取ってくれていたが、野手には申し訳ない」と肩を落とした。中西は6回5失点で無念の降板となった。

中西は力投も勝利を飾ることはできず
その後も藤原や中田達也(社4=星稜)ら4年生がヒットを放ち、チームを牽引。しかし中大3番手・三奈木の巧みな投球に打線は沈黙し、得点を重ねられない。

ヒットを放った中田
7回からは、2番手としてヴァデルナフェルガス(国経4=日本航空)が登板。昨年の全日本選手権以来の公式戦のマウンドとなったが、しなやかなフォームから繰り出す変化球で中大打線を封じ、圧巻の三者連続三振を奪った。

好投をみせたヴァデルナ

中西はヴァデルナの投球を称えた
迎えた9回表、青学大は代打・南野倫平(総3=龍谷大平安)、星子天真(史3=大阪桐蔭)を投入し逆転を狙うが、最後まで相手投手を攻略できずゲームセット。開幕戦を白星で飾ることはできなかった。

代打で打席に立つ南野
試合を振り返って安藤寧則監督は「ピッチャーはよく投げている。野手の方で結果的に(ミスが)大きくは出た」と口にした。また、入学当初から正捕手として活躍していた渡部海(コ3=智辯和歌山)の欠場については、「肩の怪我があった。今日に関しては100で行けない状態だったので無理をさせないように」と説明。代わってマスクを被った南川幸輝(総2=大阪桐蔭)は、公式戦初スタメンで堂々としたプレーを見せた。

スタメンマスクとなった南川
痛い黒星となったものの、4年生を中心に声を掛け合い、互いを鼓舞しながら戦い抜いた。開幕カード初戦を落としたとはいえ、まだまだ春季リーグは始まったばかり。また、収穫の多い開幕戦となったことは間違いない。この後を2連勝してまずは開幕カードの勝ち点を獲得することが優勝への第一歩だ。
試合を通して、4年生を中心とした強い結束力とどんな場面でも声を掛け合い、互いを鼓舞しながら最後まで戦い抜く姿勢が随所で見られた。開幕カード初戦を落としたとはいえ、春季リーグはまだ始まったばかり。むしろ、今の時点で課題を洗い出し、修正できることはチームにとって大きな収穫だろう。下級生の奮闘、上級生の責任感、そしてスタメン・控え問わず全員が戦力であるという意識が、確実にチームに浸透している。次戦以降この悔しさをエネルギーに変え、2連勝で開幕カードの勝ち点を奪い取りたい。優勝を狙うためには、ここからの巻き返しがカギとなる。「全員戦力」を合言葉に、藤原夏暉主将率いる青学大ナインがどんな戦いを見せてくれるのか――反撃の狼煙は、もう上がっている。
(記事=比留間詩桜、写真=田原夏野・比留間詩桜・山城瑛亮・高木一郎)
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